日産スカイラインにV6ツインターボを搭載する「400R」が追加された。元気なスカイラインが帰ってきた、とワクワクする反面、どうにも違和感が拭えない。
丸型のテールランプ、そして日産エンブレムまで捨てたスカイラインが、急に「伝統のブランド」を使ってきたのだ。
かつては「外資系に務めるタワーマンション在住の人」がオーナーのモデルケースとされていたV37スカイライン。登場時からえらく性格が変わってしまった。
日産はなにを思い「400R」とネーミングしたのか。そしてそこに込める思いとは。岡本幸一郎氏による分析と、ニスモ400R開発ドライバーの木下隆之氏の回想をお送りしよう。
文:岡本幸一郎、木下隆之/写真:日産、NISMO
■丸テールと日産エンブレムの復活はやる気の表われか?
【文:岡本幸一郎】
スカイラインなのかインフィニティなのか、日本市場軽視ではないのかなどなど、現行V37の発売当初からいろいろな声があったのはすでに多々報じられてきたのは周知のとおり。
なにかにつけて物議を醸すのも、「スカイライン」というビッグネームを背負っているからにほかならない。
今回のマイナーチェンジで方向性が変わり、そこまで言うならやってやるぞといわんばかりで、内容的にはまさしくいろいろあった声がほぼ反映されている。
まず日産バッジについて。
実はV37の発売時、もともと日本では日産バッチを付けて販売される予定だったところ、急きょインフィニティにすることになったという経緯がある。
「新型スカイラインをプレミアムブランドとして位置づけるためにインフィニティのバッジを付けた」というのが理由だったのだが、件の説明に釈然としなかった人は多かった。
そこでやはり、「日産を象徴するクルマであるスカイラインに相応しく、日産バッジを採用することにしました(日産 プロダクトコミュニケーション部)」という。
スカイラインを象徴する丸目4灯のテールランプも復活した。
これについては「代々受け継いできたスカイラインのアイコンである丸目4灯リヤコンビネーションランプを、最新のテクノロジーでモダンな見栄えに進化させ、より特徴的なデザインにして採用しました」(同)としている。
実はこうしてモデルライフの途中で丸目4灯テールに変わったのは今回が初めてではない。
スカイラインか否かで物議を醸したことを思い出すV35のときも、マイナーチェンジで丸目4灯っぽいデザインになった。
V35の場合、スカイラインになる予定でなかったにもかかわらず、すでにデザインが出来上がった段階で、日本ではスカイラインを名乗ることになったわけだが、スカイラインであることを視覚的にもより強調すべく変更したようだ。
今回のV37の初期型については、もともと丸目4灯をアレンジしたデザインのように見え、クルマ全体もどことなくハコスカを想起されると感じていたので、当初からスカイラインであることを意識してそうしたように感じていたのだが、さらにわかりやすく、ということだろう。
一方、フロントにも現在の日産ブランドの象徴である「Vモーショングリル」を採用したのは見てのとおり。
日本専用に「スカイライン」のスポーティネスを凝縮したフロントフェイスをデザインしたというが、正直、このクルマのもともとのフォルムに対して、いささか収まりがよろしくない気もするのは否めず。そのうち見慣れるのだろうか……。
また、プレミアムスポーツセダンとしての運転の楽しさと圧倒的な走行性能を追求するとともに、スカイライン本来の走りのダイナミズムと操る歓びを感じられるよう(※一部プレスリリースより抜粋)、ガソリン車に3.0リッターV6ツインターボエンジンのVR30DDTTを新たに搭載した。
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