2023年8月の発表直後から大人気となっているトヨタ新型「ランドクルーザー250」が2024年4月18日、ついに発売となった。250はランドクルーザーファミリーの「ライトデューティー」を担うモデルで、それまで「プラド」として販売されていたシリーズの実質的な後継車種(※この「ランドクルーザー250」発表により「ランドクルーザープラド」という車名は消滅)。プラドから、より本格なオフローダーへと力強く変貌を遂げたランクル250だが、なにがそこまで人々を魅了するのか!?? ランクル250大人気の理由と実力について考えてみよう。
文:立花義人、エムスリープロダクション/写真:TOYOTA
3つのグレードの違いは、優劣というよりも適材適所
ランドクルーザーは、1951年8月に誕生したBJ型から数えると70年以上の歴史を持つ本格オフローダーだ。現在は、最新技術を投入したフラッグシップモデルの「ステーションワゴン」(300シリーズ)、悪路走破性がもっとも高く、耐久性を重視した「ヘビーデューティー」(70シリーズ)、人々の生活と実用を支える「ライトデューティー」(250シリーズ)という構成となっている。
300シリーズは中東の富裕層がメインターゲットであり、砂漠地帯でも快適に乗ることができる高級車で、日本ではしばらくの間販売されていなかったヘビーデューティー系の70シリーズは、オーストラリアや途上国の重要な輸送手段として生産・販売が続けられてきたモデルだ。また、今回登場した250シリーズは、歴代ランクルの強みであった走破性を追求し、デザインと機能を磨き安全性を高め「使えるオフローダー」として原点回帰を推し進めたという。そのため、内装には簡素に感じられる樹脂パーツも多用されているが、メカニズム的には上級車並のものが搭載されている。「派手さのない仕事道具」といったところだろうか。
このように、世界のあらゆる道路事情とニーズに合わせてラインアップされているランクルシリーズは、グレードの優劣というよりも適材適所で使い分けるという表現のほうが適切に感じるという、特別なクルマだ。
「250」になったのは「ランクルはランクルであるべき」だから
ランクル250は、ライトデューティー版が世代の進化を追うごとに高級・豪華な路線にシフトしてしまう傾向を払拭し、質実剛健を追求した「The Land Cruiser」をコンセプトに、ランクルをつくり直すという考えのもとで開発されたという。
たしかに150系プラドの路線でそのままフルモデルチェンジしたとしたら、250系は、300系ランクルをひと回り小さくした「ラダーフレームを採用する上品な高級SUV」になるしかなく、ランドクルーザーらしさはより薄れてしまったに違いない。250の登場には、「ランクルはまずランクルであるべき」というはっきりとしたメッセージが感じられ、前述したように、250にはライトデューティーを担うキャラクターにふさわしい個性がくっきりと表れている。
世界にはランクルでなければ行けない道があり、ランクルを必要としている人がいる。そういう意味でランクルは「変化させてはいけない」クルマであり、高い走破性と耐久性がなによりも優先されるべきモデルなのだ。
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