背の低いトヨタの4ドアクーペモデルといえばカリーナEDやコロナEXiVなどが思い浮かぶが、それよりももっと小ぶりで粋なカローラセレスとスプリンターマリノがあったことを忘れてはならない!
文:ベストカーWeb編集部/写真:トヨタ
■テンロクNAトヨタ最強の4A-GEも搭載
カローラセレスとスプリンターマリノは1992年5月、100系の7代目カローラ/スプリンターの派生モデルとして誕生した。そのエクステリアデザインは兄貴分の2代目カリーナED/コロナEXiVにも通じるスタイリッシュな4ドアHTだった。
パワートレーンは基本的に100系カローラ/スプリンターと共通で、1.5L直4DOHCの5A-FE(最高出力105ps/最大トルク13.8kgm)、直4、1.6DOHCの4A-FE(最高出力115ps/最大トルク15.0kgm)、そして最上級グレードは5バルブの直4、1.6LDOHCの4A-GE(最高出力160ps/最大トルク16.5kgm)を搭載していた。
この両車、基本的なボディフォルムは共通で、具体的な違いはフロントマスクとリアコンビランプの造形に違いがあるくらい。ベースとなるカローラ/スプリンターが8代目モデルの110系に切り替わった後も、1995年からはエンジンやトランスミッション、サスペンションなどは110系モデルと共通のものを採用して1999年まで販売された。
特筆すべきはインテリアのクォリティの高さだ。ベースとなったのは歴代カローラ/スプリンターでもバブル最盛期に開発されて1991年に登場した7代目モデルだっただけに、作り込みはかなりしっかりとしたものだった。
■RVブームで販売的には苦戦したのだが……
メーカーオプション設定されていた装備に、エクストラパッケージがあり、このなかにマルチインフォメーションディスプレイという小型液晶モニターが用意されていたのだが、こいつがなかなかに先進的な装備。
ふだんは時刻や日付の表示のみなのだが、クルマに異常があることをセンサーが感知すると警告音と文字による表示が液晶モニターに現れる優れもの。何気に当時のトヨタ車でこの装備を採用していたのはセレス&マリノだけだった。
個人的には当時、某国営放送に勤務する先輩記者が当時のイメージカラーだったグリーンのスプリンターマリノに乗っていたことをよく覚えている。後部席に乗せてもらった時にリアウィンドウが完全に下がることに妙に感動したものだ。
4A-GE搭載車にMTモデルを設定していたのも走り好きには密かなアピールポイントであり、前期型の160ps仕様は5MTだったのだが、後期型はAE111型レビン/トレノ同様に165ps仕様で6MTに換装されていた。
さらにモータースポーツでも1994年から開催された全日本ツーリングカー選手権(JTCC)にも2LDOHCの3S-GE(最高出力180ps/最大トルク19.5kgm)を搭載して参戦。
その影響を受けてTRDからは100系カローラとカローラセレスをベースに、3S-GEエンジンを搭載したコンプリートモデル「TRD2000」(当時の価格335万円!)が東京地区限定99台で販売されている。セレスのTRD2000はわずか数台というレアカー。しかもこれ、発表と同時に完売だったとか……。
1990年代初頭から中盤にかけては当時、RVブームが真っただ中だったこともあり、一代かぎりで販売は終了。今あったとしたら、けっこう存在がクローズアップされるモデルだったかもしれない。知らんけど。
ちなみに車名のセレスはローマ神話の「実りの女神」の意、マリノはイタリア語の「海の」を語源としていた。
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