高速道路のSA/PAでクルマを止めた時、見かけることがある「ITSスポット」なる看板。「これってなんぞや?」。ITSスポットの中身に迫る!(本稿は「ベストカー」2013年5月10日号に掲載した記事の再録版となります)。
文・写真/ベストカー編集部
■全国に約1600カ所ある「ITSスポット」 その使い道は?
ITSとは「インテリジェント・トランスポート・システム」の略で、日本でいうなら「高度道路交通システム」。
これを司る国交省ITS推進室へ目的を聞いたところ、「人とクルマと道路が一体のシステムとして稼働し、交通渋滞や交通事故、環境などの問題を解決しようというものです」と、薄らぼんやりと交通や渋滞関連のシステムということがわかるが、さらにITSスポットの全容やメリットなどをツッこんで聞いてみたところ、次のことが判明した。
■ITSスポットの概要
2009年、首都高に最初に設置されたITSスポットは現在全国の高速の本線上やSA/PAの駐車場、道の駅などに約1600カ所設置されている。
トップの写真のように、鉄柱などに取り付けられた箱形の装置がITSだ。
それから送られる交通情報をクルマが受信することで、最新かつ、より広域な渋滞情報などをカーナビの画面上で教えてくれる。
どのカーナビでもその情報サービスを受信できるわけでなく、ITSスポット対応の進化版カーナビ(パイオニアやパナソニックなど各メーカーから販売中)に加え、専用車載器(4万円ほどからある)がないとサービスを受けられない。
純正品でも後付けでも対応OKだ。
■メリット01「約1000km先までの渋滞情報をゲット!」
「ダイナミックルートガイダンス」という最適のルート案内をしてくれる機能がある。高速や一般道を走行する際、より広範囲をとらえ、約1000km先までの渋滞情報を確認したうえで、混雑の少ないルートガイダンスを行なう。
従来は最大200kmだったので、これは大きい。
例えば、東京から名古屋を目指す場合、東名高速か中央道か迷うことがあるが、ITSなら瞬時に名古屋近くの混雑も加味し、最速ルートを教えてくれる。
■メリット02「安全運転支援をしてくれる」
走行ルート上の見通しの悪いカーブや渋滞多発箇所、合流箇所の前方の道路情報、先にある落下物の情報などをすべてリアルタイムで、音声と画面で教えてくれるサービスもある。
同時に静止画像も配信。従来のナビにはないサービスだ。
■メリット03「ETCも使え、進化も期待できる」
実はETCもITSサービスの一環で、先述した専用車載器はETC機能も付いている。
また近い将来、この車載器と連動してドライブスルーや時間貸し駐車場の支払い(決済)も可能になるといわれている。実に便利だ。
つまり、交通情報満載の現状のカーナビではあるが、それの“進化版”がITSスポットからのサービスというワケ。
スマホでも渋滞情報を受信できるなど、交通情報サービスのツールは充実しているが、長距離ドライブなどにはITSスポットは見過ごせないサービスですぞ。
■まとめ……全国に約1600カ所。ITSスポットで受けられるサービスとは?
●「ダイナミックルートガイダンス」サービスを受信できる。範囲を広げ、約1000km先までの渋滞を加味してルート案内。従来ナビは最大約200kmなのでこれはうれしい機能だ
●「安全運転支援」サービスも。見通しの悪い急カーブや落下物注意の喚起をリアルタイムで行なう。おまけに、渋滞の様子の静止画像も配信される
●後付けナビ+専用車載器でもサービスは受けられる
(写真、内容はすべてベストカー本誌掲載時のものです。2024年現在、「ITSスポット」の設置は全国高速道路の約1700ヵ所に拡大。ITSスポット・対応車載器・カーナビの双方向通信することで実現するサービスが「ETC2.0」と呼ばれ、普及が進められています)
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