■対向車のパッシングでネズミ捕りの注意喚起
休日の日中にクルマでドライブ。普段は走行しない地方の幹線道路を走っていると、見通しのいい直線的な道路にもかかわらず、対向車線からこちらに向けられるパッシング。
「何か悪いことをしたかな」と疑問に思いつつ走行していると、数km先で警察によるスピード違反の取り締まりに遭遇し、「あの時のパッシングはコレだったのか」と後から気づいた、なんて経験をお持ちの方もいるだろう。
対向車線のドライバーへ、スピード違反の取り締まりを知らせるために行われる“親切パッシング”、これに“事なきを得た”ドライバーもいるだろうが、そもそもこうした行為は人助けなのか、無謀運転のドライバーを助長したり、警察の職務を妨害したりする違法行為なのか、と考えると意見は分かれるだろう。
こうした行為の意図が「法定速度を守って安全に走ろうね」という注意喚起と考えれば、安全運転にも寄与しているともいえる。
スピード違反の取り締まりはパトカーや白バイなどによる追尾方式と、「定置式取り締まり」(いわゆるネズミ捕り)やオービスなどに大別されるが、定置式取り締まりは、警察官の動員や場所の確保、近隣住民との折衝、安全性などの面から、より効率的な自動速度違反取締装置や移動式オービスへ移行が進み、実施頻度自体が以前より少なくなっている。
その分、以前にくらべ対向車へ知らせる親切パッシングを見かける機会も減少してきているし、そもそも法定速度を遵守して走っているドライバーに対しては「この先のねずみ取りだけは気をつけて」という意図すら伝わらないだろう。というか、むしろ気分を害する可能性すらある。
また、運転歴が浅く、ねずみ取り自体に接する機会が少ない若年ドライバーにとってはパッシングの意図が伝わらない可能性大。「小さな親切大きなお世話」ではないが、親切パッシングとは、ある種の自己満足のために行われるコミュニケーションなのかもしれない。
■ドライバー同士のコミュニケーションは日進月歩
トラックやバスのドライバーたちが駐停車のサインであるはずのハザードランプの点灯に「ありがとう」の意味を込めて使い始めたものが、一般のドライバーにも伝わり普及したのはいつの頃だったろうか。
筆者は普段、初年度登録から四半世紀経ったマツダロードスターに乗っているが、信号待ちで後ろに止まったミニバンやSUVが、こちらの低い車高を考慮して、ヘッドライトを消してまぶしくないように考慮してくれることにいつも感謝している。
法律で定められているわけでもないのに、安全に、気持ちよく運転できるようにドライバーたちが培ってきたコミュニケーションは日本の誇るべきクルマ文化だ。
今後、クルマの電動化が進めば、より複雑なコミュニケーションが生まれるかもしれないが、願わくば、自己のわがままを通すためでなく、相手のドライバーへの思いやりとして生まれてくるものであってほしい。
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