国産、外車問わず、フロントグリルとリアに必ずと言っていいほど付いているのがクルマの会社と車名のエンブレムだ。一般的にはフロントに会社のエンブレム、リアには車名が刻印されている訳だが、今から40年前は、クルマのあらゆる場所に大量にエンブレムを装着していたのだった。
文、写真:ベストカーWeb編集部
■サニー バネットラルゴコーチ グランドサルーンって?
そもそもサニー バネットラルゴコーチ グランドサルーンは、初代バネット(C120)の派生車種という位置付けで、ラルゴと冠した「バネットラルゴ」として誕生し、その後は「ラルゴ」単独で販売されることとなる訳だが、1999年にセレナ・エルグランドに統合される形で消滅した。
サニー バネットラルゴコーチ グランドサルーンは7人乗りのクルマで、今でいうエルグランドのようなポジションのクルマとなっており、2列目シートが回転可能なアームレスト付リムジンシートと、センターアームレスト付き3列目シートで、当時の同クラス帯では唯一のガラスハッチが装備されていた。
最大で7人乗車のレジャーを目的としているクルマだけに搭載されるエンジンは、コーチが直列4気筒 OHV 1952ccディーゼル ターボとパワフルなエンジンを備えていた。
このクルマ、登場が今から42年前ということで今のキャラバンやバネットと比べると明らかに違う。それもその筈で、サイズが全長3,965mm、全幅1,690mm、全高1,920mmとなっており、現行型キャラバンの全長 4,695mm x 全幅 1,695mm x 全高 1,990mmから一回り小さい。
そんなサニー バネットラルゴコーチ グランドサルーンだが、今では想像も付かない、とんでもない数のエンブレムを装着していたのだ。
■色んな場所にサニー、バネットと日産マークが!
サニーラルゴのホイールキャップにはしっかりとバネットマークが入っている。この他にも、車体側面にサニーのエンブレムが付いていたり、フロントには「NISSAN」、「SUNNY VANETTE」とローマ字で刻印が入っている。
すごいのはリアだ。サニーバネットラルゴ ディーゼルターボ グランドサルーンという長すぎる車名を何個かに分割して左右両方に敷き詰めて、中央に小さく「NISSAN」と書かれている。
さらに、リアハッチを開けるカギ穴を下にして今のセレナでも採用されているガラスハッチを開けるカギ穴が上部に設定されているし、何よりスゴイのが持ち手部分にまでバネットマークを入れるほどの遊び心も持ち合わせていたのだ。
この他にもリアワイパーがあったり、室内には解放感バツグンのサンルーフが設定されていたりと、当時のミニバンブームで消費者のニーズをガッチリと掴む工夫をしていたりとかなりいいクルマに仕上がっていたのだ。
しかし1990年以降のプリメーラから、日産内部でエンブレムを統一しようとする動きがあり、以降はお馴染みの日産エンブレムのみの採用となった。
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