近年、自動ブレーキなどの先進安全装置を搭載した先進安全自動車(Advanced Safety Vehicle:以下ASV)が増加しているが、コロナ禍で減少に転じた交通事故件数は昨年、若干の上昇に転じ自動車保険(任意保険)の保険料も上昇している。保険料の上昇は物価高が続く昨今では、ユーザーの大きな負担増だ。原因を洗い出し、自動車ユーザーが取るべき対策と自動車保険料の今後の展望を探っていこう。
文:佐々木 亘/写真:ベストカーweb編集部・AdobeStock(トップ画像=Gina Sanders@AdobeStock)
■どうして? ASV普及でも減らない交通事故
衝突被害軽減ブレーキ、ペダル踏み間違い時加速抑制機能(誤発進抑制制御機能)、車間距離制御機能(ACC)車線逸脱警報装置、リアビークルモニタリングシステム、自動切替型前照灯などの予防安全技術や運転支援システムが入ったクルマを、ASVと呼びます。
ASVが増えることで、多くのドライバーは交通事故の減少を期待していると思いますが、まだまだ実際の交通事故が大きく減少に転じているわけではありません。
特に、交通事故の中には、ASVだけでは防ぎきれないものも多く、ドライバーの不注意や判断ミスが、現在も交通事故の大きな原因の1つ担っています。
ASVはあくまでも「支援」であり、完全なる安全が担保された自動運転ではないことを、機能を使う側も再認識しておくことが必要でしょう。
■上がり続ける任意保険料。 いったいどこまで上がるの!?
損害保険大手4社は、2024年5月に行われた決算会見で、今年度中の自動車保険料の値上げ方針を発表しました。値上げ時期は2025年1月とみられ、2.5%〜3%の値上げになるようです。
更新のたびに高くなっていく自動車保険料ですが、一体どこまで上がるのでしょうか。
現在はASV割引といった制度があり、新車から3年間の間は、自動車保険料が1割ほど安くなりますが、ASVが当たり前になってくると、こうした割引も無くなっていくでしょう。
実際、過去5年から10年の間、自動車保険料は上昇傾向にあって1年経過で保険料は平均で3%から5%上がっているのです。
今後も、高齢化社会による事故リスクの増大や環境規制強化に伴う技術導入コストの上昇が見込まれるため、保険料は引き続き同水準で上昇を続けることが見込まれます。
保険料増額の流れを止めるには、事故減少はもちろんですが、保険業界全体のリスク管理の改善や技術革新によるコスト削減も重要な鍵です。
■こっそり教えちゃいます。保険料削減につながる裏ワザ!
まずは複数の保険会社から見積もりを取り、最適なプランを選ぶことが最も重要です。また、無事故割引や複数年契約による割引を活用したいところ。
そしてあまり知られていないワザが、「事故の少ないクルマ」を愛車に選ぶことです。それを選ぶ基準になるのが、型式別料率クラスというものになります。
各モデルを対人・対物・人身傷害・車両の4つの補償内容で区分けし、それぞれに料率クラスを数字で示すものです。例えばZVW50型のトヨタ・プリウスでは対人13・対物8・人身11・車両9になります。
GUE型のスバル・クロストレックでは対人7・対物7・人身9・車両7という感じ。結構クルマによって数字が変わります。
型式別料率クラスが低いとされる車にはトヨタ・ルーミー、ホンダ・N-BOX、スズキ・スペーシアなどがあります。こうした料率クラスの低いクルマに乗ることで、自動車保険料を下げることもできるのです。
任意とは言え、ほとんどのクルマにかかっている自動車保険。
クルマに乗るために必要な支えであることから、闇雲な保険料上昇は避けてほしいところですが、当分の間はユーザーの自助努力でどうにかするしかなさそうです。
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