昔、有名なキャラメルのCMで流行したキャッチフレーズ「ひと粒で二度おいしい」。今では「ひとつの物事から、複数の利益を得る」ことを意味する慣用句としても使われている。ここで紹介する2台も、ふたつのおいしさがかなり楽しめるモデルだ!!
※本稿は2024年7月のものです
文:国沢光宏/写真:奥隅圭之
初出:『ベストカー』2024年8月10日号
■SUV全盛の今「リフトアップ」が熱い!
ご予算あったら今回紹介する2台を手元に置いて暮らしたいとホンキで思った!
まずクラウンクロスオーバーランドスケープから。数年前からアメリカではSUVやクロスオーバー(乗用車ベースで車高を上げたモデル)をさらにリフトアップし、オフロード用タイヤ履かせたモデルが人気になっている。
例えばスバルの「ウィルダネス」シリーズ。車高を20mmほどアップし、オールテレーンタイヤ(すべての路面に対応するオフロードタイヤ)履かせているのだけど、存在感上がってすんごくカッコいい!
RAV4のオフロードパッケージもオールテレーンタイヤ履いて最低地上高を10mm高い210mmにしたら一段とオトコマエになった。ひと昔前はローダウンが主流だったものの、売れ筋のSUVだとリフトアップだ。
クラウンクロスオーバーがデビューした時、私はトヨタの開発チームに「車高上げたらもっとカッコよくなる!」と断言した。
どうやらすでに構想を温めていたようで、スタンバイしていたのだろう。追加されたランドスケープを見た瞬間「これですよ」。というかクラウンクロスオーバーを買うならランドスケープしかないな、と思うほど文句なしにスタイリッシュ!
大ざっぱに紹介すると、クラウンクロスオーバーをベースにサスペンションとオールテレーンタイヤでリフトアップ。
145mmしかなかった最低地上高を172mmに上げ、片側20mmワイドになったオーバーフェンダーとマッドガードでドレスアップ。トレーラーを引っ張るヒッチメンバーまで標準装備した。車高も30mm近く高くなったため、ひと回り大きくて存在感あるクルマというイメージ。
乗るとどうか? 通常オールテレーンタイヤを履くと騒音レベル上がり、ステアリングフィールが悪くなるが、ジオランダーG015というタイヤ、なかなか静かでシャッキリしている。
東富士テストコースの主(匠と呼ばれる)のセットアップ能力の高さもあり、街中での乗り味に不満なし! むしろ挙動がドッシリし、ロングドライブ時の安定感などマシマシになった感じ。
ドラポジも27mm高くなっているため、乗降性がよくなり、視点はSUVっぽくなった。ゴキゲンでございます。
パワーユニットは2.4Lターボ+ハイブリッドだから、システム出力にすると349psある! 0~100km/h加速が6秒程度とのこと。もはやスポーツカーと言っていい。それでいて広いリアシートを持つ。普段使いのファーストカーには最高だ。
■パリダカを戦った953をオマージュ
続いてポルシェ 911ダカール。これまた最近流行のリフトアップである。ポルシェは953という911ベースのクロスオーバーでパリダカを戦った。そいつをオマージュしたのがこのクルマだ。
911の最低地上高を66mmも上げて161mmに(スイッチ操作でさらに30mm上げられる!)。ピレリのスコーピオンという専用開発のオールテレーンタイヤを履かせている。このまんまオフロードに持ち込めます。
ランドスケープと同じくクルマの車格がワンランク上がり、ヒップポイントは50mmも高くなったので乗り降りも楽。走り出すともう最高ですよ!
オリジナル911のシャープな感覚は少しばかり失われてしまったけれど、限界よりコントロール性を重視したラリー車のような雰囲気になっている。大好物にありついた子どものようになった。楽しいとしか表現できない。
困ったことにタッチパネルで選択する制御に「Rally」という項目がある。そいつを選んでエンジン音を「大」にしてスポーツセッティングとしたら、ホントにラリーカーみたい!
アクセルを戻すとバラバラとアンチラグみたいな音。トルクバンドに入るギアをキープする。ポルシェのスペシャルバージョンに乗ると、いつもノックダウンに近い感銘を受けます。
内容を考えたら3000万円も高くない。だって一世代の前のランエボやインプレッサでグループNのラリー車を作ったら2000万円でした。480psのエンジンを積むダカールなら納得できるプライスだ。
とはいえダカールはすでに売り切れ。私はフェアレディZが納車されたらモンテカルロラリー仕様をオマージュしたモディファイをしてみようかと思ってます。
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