先日、ようやくハイブリッドモデルに関しても生産・出荷が再開されたトヨタ「ライズ」。2023年には約6.5万台も売り上げた人気モデルだけあり、出荷再開を心待ちにしていた人も少なくないだろう。
そんなライズだが、いまその中古車相場が急上昇しているという。新車の生産・出荷停止の影響かと思われたが、原因は全く別のところにあるようだ。
文:吉川賢一/写真:TOYOTA
ライズの中古車相場高騰は、ロシア情勢が要因
中古車の海外輸出事情に詳しい、某中古車買い取り専門店の担当者によると、ライズの中古車相場が高騰しているのには、ロシア情勢が関係しているという。
日本で下取りに出された車は、一部は国内市場で中古車として販売されるが、大半は海外へと輸出されている。特にここ数年は、中古車輸出台数が増加しており、2023年の輸出台数は約154万台で、前年を20%以上も上回り、過去最高を更新した。その最大の輸出先がロシア。
ただ、ロシアへはいま、中古車の輸出に関して、日本政府が規制をかけている。2023年8月、日本政府は、ロシアのウクライナ侵攻への制裁処置として、ロシアへの中古車輸出を厳格化。排気量1900cc超の自動車(ガソリンエンジン車、ディーゼルエンジン車)、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、電気自動車(EV)をロシアへ輸出することが禁止となった。
それまでロシアへはランドクルーザープラドやプリウスをはじめとして、コンパクトカー、ミニバン、大中小のSUV、それらのハイブリッド車やディーゼル車、バッテリーEVなど、雑多な種類の中古車が大量に輸出されていたそうだが、規制が厳格化されて以降は、規制をすり抜けることができる「排気量1900cc以下のガソリン車」が、大量にロシアへと輸出されるようになったそうだ。ヴィッツやヤリス、ノート(先代)、フリード、ヴェゼル、レヴォーグなどが多い中、もっとも多く輸出されているのがライズ。需要が高まったことで中古車相場が高騰しているそうなのだ。
業者向けオークションでは、ほぼ新車価格で落札されるケースも
ライズは、全長4メートル以下、5ナンバーサイズのコンパクトSUVだ。ガソリン車のパワートレインは1.0L直3気筒ターボエンジン。ロシアで人気となった理由は定かではないが、軽量な車両重量のおかげでキビキビと走ることに加えて、ライズのデザインがSUV好きのロシアの人に刺さったのかもしれない。
前出の中古車買い取り専門店の担当者によると、なかでも2020年登録車 が多く輸出されているそうで、業者向け中古車オークションでは、2020年式のトヨタ ライズ(A200A)の平均落札相場が200 万円に限りなく近づいているとのこと(2024年7月時点)。200万円といえば、ライズの当時の新車販売価格並み。スポーツカーや限定車などではなく、4年落ちの大衆車の中古車価格が、これほどの高値相場になることは珍事だという。
前期型(A200A)となる2019~2021年式の業者向け中古車オークションにおける平均落札相場を調べると、年式による相場差はほぼなく、走行距離も5万km程度までならば大きな差がない。ただしボディカラーによっては相場に差があるそうで、人気色のパールホワイトや白黒ツートンであれば落札価格は高くなるが、逆に、不人気色となると20万円も下がることもあるそう。もしも2019~2021年式のライズガソリン車で走行距離5万キロ以下、なおかつ白黒ツートンやパールホワイトのボディカラーの個体であれば、思いもよらない下取り価格となる可能性は高い。
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