■前門の虎(BYD)後門の狼(トヨタ)
トヨタの稼働率は相対的に安定しており、収益力もある程度防衛してきました。しかし、今回の決算ではトヨタも中国の収益が半減しました。ここにはトヨタが本気で市場シェアを守ろうとしている姿が浮かびます。
これまでトヨタは中国市場でのシェアを防衛してきました。ハイブリッド車が内陸部で強く、ミニバンなどのトヨタオンリーなモデルが存在し、かつ、主力のICE車でライバルに売り勝っています。
中国消費者は、NEVは中国ブランド、ICE車は海外ブランドを選ぶというすみ分けが定着してきています。海外ブランドのなかでトヨタへの支持は根強く存在感が増しています。その結果、米国ブランドやトヨタ以外の日本ブランドが沈むという構造になっています。
トヨタは強い意志でディーラーとサプライヤーを守り切ろうとしています。
2026年に向けて中国専用モデルを開発しており、それまでの過渡期にICE車市場が縮小しても、トヨタは工場稼働率を維持できる数量を守り続けようとしています。
それだけに他メーカーは厳しい戦いを強いられます。ホンダと日産にすれば、まさしく前門の虎(BYD)後門の狼(トヨタ)といった情勢なのです。
中国勢は今後グローバルサウス(新興国)へ侵攻を強めていきます。
日本車メーカーが中国国内で中国勢と互角に戦う力を獲得できなければ、グローバルサウスにおいても敗走することが懸念されます。東南アジア、中南米、北アフリカの新興国市場を失うドミノ倒しを迎えかねないのです。
中国における競争力の向上が持つ意味には、中国事業を守るだけではなく、グローバルサウスの事業を防衛するという大義が存在しているわけです。
先に日産が崩れ、そして今、ホンダの中国事業の未来が問われ始めています。これは負けることができない戦いです。
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