クルマにまつわるさまざまな限界をとことん探った2013年の本誌企画から、燃費の限界を巡る考察をプレイバック!(本稿は「ベストカー」2013年8月10日号に掲載した記事の再録版となります)
文:鈴木直也、編集部
■超絶激化の大進化、進行中 燃費の限界はどこにある?
激しい燃費競争が繰り広げられている昨今だが、実は大昔のクルマの燃費は意外とよかった。
現在のクルマはそもそもの大型化に加えて衝突安全の観点などから車重が非常に重たくなっている。
例えばコンパクトカーのヴィッツの車重は1000kg(1.3L車)だが、初代パブリカの車重はわずか580~600kgに過ぎず、現在の軽自動車よりもさらに100kg以上も軽かった(ミライース=730kg)。
こいつに697ccの28psエンジンを搭載しているのだから、実走行燃費が悪くないというのも充分納得できるだろう。
当時は「定地走行燃費」の時代でカタログに記された数字は24km/L。
以前ベストカーではパブリカ、ヨタハチなどの実走行燃費テストをしてみたことがあるが、比較用に走らせたデビュー直後のインサイトが16.48km/Lだった場面でヨタハチ=21.68km/L、パブリカ=21.12km/Lと燃費自慢の最新ハイブリッドカーをラクラク上回った。
【画像ギャラリー】燃費の限界に挑戦し続ける国産車たちをギャラリーでチェック!(8枚)画像ギャラリー■ハイブリッド化に続く燃費の限界を破る技術は!?
低燃費技術の決定的ブレークスルーとなったのはハイブリッドであることに疑いの余地はない。
現在日本一の低燃費車はトヨタ アクアでJC08モード=35.4km/Lをマークする。ハイブリッドの行き着く先はEVに近い領域となろう。
いっぽう、軽自動車ではハイブリッド化は重量とコストを増大させるため避けられ、軽量化と高効率化、そして徹底的な低フリクション化が推し進められた。
その象徴的存在が2010年9月に登場したダイハツミライース。ボディ骨格の設計にまで立ち返って徹底的に無駄を省き軽量化を実施。
いわゆる「飛び道具」はいっさいないままにJC08モード燃費30.0km/Lをマークしたのは当時としては「限界」とも思われた。軽量化と低フリクション化は涙ぐましいほどで、さらにアイドリングストップを組み合わせることで低燃費を推し進めた。
ミラからの燃費向上は実に40%で、エンジン改良で14%、アイドリングストップで10%、軽量化で5%、CVT改良で4%、走行抵抗改善で3%、エコ発電制御で3%といわれている。
マツダのSKYACTIV技術も基本的にはこの方向。エンジンの効率を高め、走行抵抗を軽減することで燃費を引き上げる。
オルタネーターの抵抗を嫌い、加速時にはオルタネーターでの発電を停止し減速時に積極的に発電するエネルギー回生システムも誕生した。電力の出し入れ効率に優れるリチウムイオン電池を搭載するのがスズキの「エネチャージ」、キャパシタを使用するのがマツダの「i-ELOOP」である。
さて、燃費の限界はどこにあるのか!?
究極的には「無限大」ということになろう。ハイブリッドが進化すれば、ほぼEVのようなシステムとなり、プラグイン化すればガソリンをほとんど使うことなく日常を過ごせる。
VWが発表したコンセプトカーXL1は欧州複合モードで111.1km/Lをマーク。800ccの2気筒ディーゼルターボハイブリッドシステムを採用する。
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