■城下町のため右折がなかなかできないため生まれた「松本走り」/長野県松本市
松本走りは、松本市の広報紙によれば、対向車がいるのに強引に右折する、左折車にいるのにほぼ同時に被せるように右折、青信号と同時に内回りに右折、前が詰まっていても交差点に進入、前が詰まっていても交差点に進入、ウインカーを出さずに進路変更などが、松本走りの特徴とされている。
城下町のため狭い路地が多く、日常的に渋滞が発生し、右折がなかなかできないので、信号が変わった時に早く右折する、右折の矢印信号がない場合が多いので後ろが詰まっていると慌ててしまう、右折しようとしてもなかなか右折できないため後続に渋滞を作ってしまうため早く右折する。
【画像ギャラリー】東日本、中部地方特有のご当地走り、なぜなくならないのか?(7枚)画像ギャラリー■ウインカーなしの車線変更や無理な割り込みをする「名古屋走り」/愛知県
最後は中部地方で最も事故の多い愛知県。名古屋の道路を走った人ならわかると思うが、道幅が広く交差点も広い。駐車場があるのにもかかわらず、歩道上での駐車や交差点内で駐車しているクルマが多くて驚いたことがある。
交差点の角に斜めに駐車するケースは名古屋城の金のしゃちほこに見立てて「しゃちほこ停め」というそうだ。駐車監視員制度開始以降に路上駐車が減ったものの、車線が多い道路では、いまだに二重駐車・三重駐車も珍しくないらしい。
ちなみに名古屋市で道路面積が占める割合は政令指定都市で最大の約18%、市中心部には幅約100mの道路が2本、片側4車線もあるところもある。道路が広いから停めても大丈夫だろうと思うのだろうか?
名古屋走りと言われているものは、ウインカーを出さずに右左折、車線変更、左折する対向車の前に強引に右折、交差点の右折レーン、前に並んでいるクルマより強引に先に右折、右折レーンから信号が変わった瞬間、直進レーンに割り込むといった、呆れてしまうほどの運転マナーである。
愛知県内の交通事故による死者数は2018年まで16年連続で全国ワースト1が続いた愛知県。2019年以降ワースト1は脱しているものの、2019年2位156名、2020年2位154名、2021年7位117名、2022年2位137名、2023年2位145名とほぼ横ばいが続いている。
2024年1~8月末までの死者数は91名と愛知県は1位と再び増加している。以下2位千葉県90名千葉県、3位東京都89名、4位大阪府77名、5位兵庫県70名。
2024年1~8月末までの交通事故発生件数は1位東京都1万9459名、2位大阪府1万6099名に続き、愛知県は1万5638名で3位と、相変わらず上位3位以内の常連だ。
もちろん愛知県警と愛知県は「名古屋走り」を黙って見過ごして来たわけではない。名古屋走りは「信号無視」、「通行区分違反」といった法令違反にあたり、愛知県警は取り締まりを強化するとともに愛知県とともに交通モラル向上の取り組みを進めているが、撲滅にはいたっていない。
名古屋市の住人に名古屋走りついて聞いてみた。
「大きな交差点では赤信号で進入するクルマは相変わらず多いし、ウインカーを出さずに右左折、車線変更は当然のように思っているクルマも多いです。2車線以上の見通しの交差点は特に多いです。昔、右折レーンに並んでいて右折の矢印信号が消えたので停まったら、後ろのいたクルマが対向車線にはみ出して右折していったことがありました。特に交差点では気を付けています」。
名古屋走りはなぜ起きるのか? 前出の名古屋の住人は、「直線的で広い道路が多く、交差点も広い。しかも車線が多いです。車線変更の機会も多く、その煩わしさからウインカーを出さなくなったのでは。そういえば、信号が黄色になった時も当然のように加速していきますし、赤信号でも停まらないクルマもいまだに多いです。まあ名古屋では“黄色はまだまだ、赤勝負”という言い伝え? がまだありますからね」。
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コメント
コメントの使い方どれも、狭くて拡張見込みもない道路で、前の車が中々右折せずに渋滞して支障が出た、という経験から
「あんな思いを後続にさせる訳にはいかない、自分がちゃちゃっと右折すれば解決する」という理由だと信じたいです。
しかし、横断する歩行者からしたら危険極まりないのも確か。郷に入っては郷に従えとも言いますが、できるだけ控えたい運転ですよね。