2021年10月、日産 キャラバンのガソリンエンジン搭載モデルがマイナーチェンジを受け、内外装のブラッシュアップや新開発の7速AT投入などで個人ユーザー向けのテコ入れを行った。
そして2022年2月、本命ともいえる新型ディーゼルエンジン搭載モデルが登場。クルマ好きの個人ユーザーに訴えかける新生キャラバン ディーゼルに試乗した!
※本稿は2022年3月のものです
文/鈴木直也、写真/ベストカー編集部、撮影/西尾タクト
初出:『ベストカー』2022年4月26日号
■より個人ユーザーへの訴求力を高めるマイナーチェンジ
純粋に業務用に作られたのに、クルマ好きに人気のモデルというのがたまにある。
現在の日本なら、その代表はハイエースだろうし、輸入車ならルノー・カングーあたりがそうだろう。
あちこちのショップからカスタマイズパーツが販売されたり、愛好家のミーティングが開催されたり、その界隈はスポーツカーやヒストリックカーなみに盛り上がっている。
不思議なのは、日産キャラバンがこの波にいまひとつ乗り切れていないこと。
開発者に聞くと、純粋な業務ユーザー市場では健闘しているものの、ひとり親方の職人さんなど、個人ユーザーへの食い込みが弱い、という分析。
そういうニーズに向けた商品力を強化するため、昨年10月のガソリン車のマイチェンで、内外装のブラッシュアップ、ADAS系のアップデート、新開発の7速AT投入などが行われた。
そして今回登場したのが本命ともいえる新型ディーゼルエンジン搭載モデルだ。
これまでのキャラバンディーゼルのエンジンは、2.5LのYD25型。ライバルのハイエースは3Lの1KD-FTV型で、静粛性やドライバビリティともに差をつけられている感があった。
巻き返しを期して投入された新エンジンは、三菱が開発した4N16型。排気量は2.4Lとダウンサイズしたが、アルミブロックや2段SCR触媒など、設計世代が格段に新しい。
■日産の本気度を感じるキャラバンの進化
実際に走ってみると、約4%増強されたトルクが新しい7速ATとよくマッチして、加速感が力強いことを実感。
リミットまで回しても騒音レベルはよくコントロールされているし、100km/hで約2300rpmの7速クルージングも旧モデルより確実に静かで心地よい。
また、バリエーション展開でも個人ユーザーを強く意識して、GRANDプレミアムGXという新グレードを設定。インパネまわりや内装の質感は旧モデルより格段に向上している。
さらに、今回の試乗会には日産の肝いりでカスタムショップ8社が手がけたカスタマイズドモデルが展示されていたが、これもいい試み。
先行するハイエースを追いかけるには、とにかく多くのユーザーの目に触れて「お、今度のキャラバンかっこいいじゃん!」と思ってもらうことが重要。
キャンプ、マウンテンバイク、釣りなど、趣味性を追求したマニアックなカスタマイズカーの存在は、キャラバンの魅力をアピールするうえで、大いに力になると思う。
こういう草の根ユーザー活動にまで踏み込んで、個人ユーザー開拓にトライしようというその意気やヨシ。
日産の本気ぶりを感じた、新型キャラバンディーゼルの試乗でございました。
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