見ているだけでワクワクしてくる遊びグルマの筆頭格、ルノー カングーが新しくなった。とはいえ従来の「デカングー」に乗るオーナーたちにとっては、心がザワつく不穏なニュースかもしれない(笑)。そこで同じ先代オーナーだった編集部員が、新型の進化度合いをチェックしてみた。はたして新型カングーはどこが変わったのか?
文/ベストカーWeb編集部、写真/ベストカーWeb編集部、ルノー
■21cm伸びた全長よりも全幅が心配?
まずは外観からチェックしてみたい。新型カングーは細かなディテール以前に、プロポーションが変わった。先代デカングーは全長がシエンタやフリードクラスの4280mmだったから、「ずんぐりむっくり」的な愛嬌があったが(前期型はもっと短く4215mm)、新型はその全長が210mmも伸びて(4490mm)、都心のモダンな風景にもマッチする精悍さを身に着けた。
精悍さの理由だが、全長が長くなったからというよりも、Aピラーの角度が「寝て」、横から見たときのウインドウエリアが「上下に薄くなった」ことが大きいように思う。ちなみにホイールベースは15mmしか伸びていないから、全長拡大は前後のオーバーハング部分が担っている。その恩恵を受けたのがラゲッジルームで、荷室容量は先代比+115Lの775Lまで大きくなった。リアシートを倒すと+132Lの2800Lとなる。
いっぽう地味に気になるのが全幅だ。先代から30mm広がって1860mmとなったから、「立体式駐車場に入らない!」という人が出てくるかもしれない。マンション住まいの方は規約を確認したほうがいいだろう。
■後席のオーバーヘッドコンソールは新型にはなし
ドアを開けて室内に乗り込んでみる。目の前に広がるのは、ルーテシアやアルカナといったルノーの最新モデルに通じる、合理的なインパネのしつらえ。独特の形状のサイドブレーキレバーがなくなり、ダッシュボード中央には8インチのディスプレイが備わったりしたから、「これぞカングー!」という萌え要素は減ったかもしれない。
それでも、プラスチッキーさが否めなかった先代に比べたら、やっぱり新型は魅力的だ。目で見たり手で触れたりする部分の質感が増し、クルマが上級移行したことがはっきり実感できる。何気にフロントシートが一回り大きくなったこともマル。身体を支える面圧分布が最適化された感じで、ロングドライブの疲れ具合にも差が出ると思った。
あちこちに設けられた収納スペースも、カングーの美点だ。新型にももちろん数多くのスペースがあるが、単なる空間ではなく、USBポート(5か所)や12V電源ソケット(4か所)が併設されている点がうれしい。ガジェットを持ち込んだり、自分流にカスタムしたくなるクルマだけに、こうした心配りはありがたいところだ。筆者が唯一気になったのは、先代にはあった後席用オーバーヘッドコンソールが省略された点。一部に「使わない」という声もあったから、頭上の解放感を優先したのかもしれない。
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