■運転支援がテンコ盛り。安全性が増した点は大きなマル
後発のプジョー リフター/シトロエン ベルランゴにカングーが大きく水を空けられていたのがADAS(高度運転支援装置)。新型は一転して最新の機能を搭載し、ライバルを凌駕するクルマとなった。
参考までに新型カングーが搭載するADASを列記してみよう(※一部機能はベースグレードのZENには非装着)。
・ハイウェイ&トラフィックジャムアシスト
・アダプティブクルーズコントロール(ストップ&ゴー機能付き)
・レーンセンタリングアシスト(車線中央維持機能)
・エマージェンシーレーンキープアシスト(車線逸脱抑止機能)
・ブラインドスポットインターベンション(後側方車両検知機能)
・レーンデパーチャーワーニング(車線逸脱警報)
・トラフィックサインレコグニション(交通標識認識)
・アクティブエマージェンシーブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ/人と自転車)
・オートハイ/ロービーム(先行車、対向車を検知してハイビームを自動でロービームに切り替え)
・ドライバー疲労検知アラート
・パーキングセンサー(リアカメラ連動)
・セーフティディスタンスワーニング(前方車間距離警報)
アダプティブクルーズコントロールなどはもちろん便利だが、やはり被害軽減ブレーキに対応し、安全性が大きく高まった点はありがたい。家族や仲間と楽しむクルマだけに、安心して乗れるクルマになった点は大きな進化だ。
■圧倒的によくなった乗り心地。静粛性アップも見逃せない
最後に走りはどうだろうか。新型カングーに使われたのは、日産エクストレイルや三菱アウトランダーも使う最新プラットフォームCMF-C/D。やはりこの基本骨格の刷新効果は大きく、カングーの走りが一気にアップデートされた感覚を持った。
先代カングーは決して乗り心地が悪いわけではなかったが、どこか商用車という出自を思わせるゆるさがあった。ステアリングを切る感覚が曖昧で、ロールが大きく、峠道などではそれを見越した操作が要求された(それでもタイヤがあきれるほど接地するので、コツが分かれば運転は楽しかったのだが)。
新型は走りの懐の深さが1枚も2枚も上がった感じだ。ボディ剛性が格段に上がり、よく動く足回りが路面からの入力をひたひたと受け止める。コーナーでも過度なロールは皆無。ステアリングを切ると間髪入れずスッとノーズが入り、乗用車感覚で駆け抜けることができる。ステアリングギア比も速められているというが、ロールスピードとのバランスが絶妙だった。
今回、エンジンには待望のディーゼルが加わったのだが、ガソリンと乗り比べると「特性がよく似ているなあ」という印象を持った。両者とも低速からトルク感があり、必要十分な仕事をしてくれる。ロングドライブを一気にこなすならディーゼルだろうが、24万円ほど安くなるガソリンもお財布的にはありがたい。好きなほうを選んでいいと感じた。
劇的に静粛性が高まったこともあげておきたい。先代カングーは正直、時速100km+αとなると前後席間の会話が聞き取りにくいほどだったが、新型は実に快適。理由を聞いたらガラスの板厚まで上げて、遮音性を高めたという。これなら長旅でも疲れないだろう。
というわけで、およそ15年ぶりのフルモデルチェンジを果たしたルノー カングー。商用車として、乗用車以上の耐久性を持たせたという作り込みもあって、その進化は劇的だった。特にしっかりした走りや安全性を求める人には、新型が絶対おすすめ。長く付き合えるクルマになるはずだ!
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