■楽ナビはサイバーナビと切磋琢磨する関係だった?
使い始めた「楽ナビ」は自分のイメージ通りのモデルだった。もちろん音声認識のレベルなどは現在のモデルに比べれば見劣りする。しかしエンジンを始動すると「どちらまで行きますか?」と聞いてくることに対し、こちらが発話、そして「かしまりました」と反応しルート探索→案内してくれるのは当時としては画期的。
クルマとドライバーとの新しい付き合い方を見たようでワクワクしたものだ。くどいようだが、25年前に今のスマホで行えるようなUIを搭載していたのだがら売れるに決まっている。
当然大ヒットモデルとなった初代「楽ナビ」だが、2000年9月に登場した「AVIC-DR1000V」に代表されるモデルは大容量メディアである「DVD」を採用。商品名も「DVD楽ナビ」となりカーナビ自体も一気に進化したが、初代で好評だったUIに関しても音声認識とは別に新たな提案が行われた。
それが「Do(ドゥ)リモコン」と呼ばれるものだ。簡単に言えば「お出かけ」から「お帰り」まで使用頻度の高い操作(4つ)を組み込むことでワンタッチでナビを操作できるというものだ。
また本体の他、リモコンにも視認性の高いオレンジを配色するなど、精密機器でありながら親しみのある仕様とするなど高い評価を得た。当然筆者も「荒行」で購入したのだが、先行してDVD化しているサイバーナビとの関係、言い換えれば性能は限りなく「DVD楽ナビ」はサイバーナビに近づいてきたわけだ。
常に最先端を走る「サイバーナビ」と初代からのコンセプトを引き継ぎながらよりユーザーオリエンテッドを高める「楽ナビ」は良い意味での「ライバル関係」とも言える。
サイバーナビが常に最高の技術を取り込むのに対し「楽ナビ」はサイバーナビに近づきつつも独自のユーザー体験を提供する。その“切磋琢磨”する関係こそが「楽ナビ」を進化させてきたひとつの理由と言えるだろう。
■ファミリー向けや新機軸の追加でカーナビのスタンダートの座を確保
そして2003年2月に登場した「AVIC-DRV150K」に代表される「DVD楽ナビ」は今では当たり前になっている映像系ソフトの再生、つまり「DVDビデオ」の再生に対応、つまりここからエンタメ領域の強化が始まる。
当時としてはDVDビデオの高画質映像が車内で楽しめることはロングドライブの休憩時などでは重宝された機能だ。
またこちらも現在ミニバンユーザーにはマスト機能と言えるリアモニター、当時「キッズモニ」と呼ばれる専用モニター&リモコンをパッケージするなど常にファミリー層に向けて一歩先の提案を行った。
またキッズモニでDVDビデオを視聴する際に同時にカーナビ機能を使うことができる「メモリーナビモード」を搭載した点もカーライフを充実させる機能として話題となった。
ヒットモデルを連発する「楽ナビ」は2004年には待望のAV一体型2DINモデルを追加するなどラインナップを拡充。少し先の2006年には累計販売台数120万台を超え、名実ともに「カーナビのスタンダード」の座を得ることになる。
■全ては今の楽ナビに繋がる
前半となる今回は初代から2004年頃までを振り返ってみたが、どの時代のモデルを見てもそのコンセプトは不動、言い換えれば「ブレが無い」のである。
「ボイスコントロール」にせよ「Doリモコン」にせよ、とにかく簡単に高性能・高機能を扱う事が出来る、言い換えれば「人に優しいカーナビ」であることが分かる。
最新の「楽ナビ」に関しては後編で触れるが、それでも目的地検索に関しては今や必須とも言える「通信の活用」、つまりCASE時代における“C”(コネクテッド)を実現している点こそが圧倒的なアドバンテージと言えるだろう。
通信、つまり車両をオンライン化することで従来では手に入れる事が出来なかった「その先の利便性」、具体的にはインターネットを活用した最新情報の検索と活用、そしてカーナビに求められる「自動地図更新」、車載Wi-Fiの活用でより充実したコンテンツの再生に対応するなど、今の時代にミートしていると言っていい。
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