「25周年」。パイオニア カロッツェリアの楽ナビが2023年にメモリアルイヤーを迎えた。ひと言で25周年と言うのは簡単だが、ここまでの道のりは簡単なものではない。その歴史を辿ると共に現在発売されている最新モデルにどう繋がっていくのか。初代モデルからこれまで数台のモデルを自腹購入してきた筆者がその魅力をお伝えしよう。
文/高山正寛 写真/ベストカーWeb編集部、パイオニア
■当時のカーナビはまさに“高嶺の花”
筆者とカロッツェリア、初めての出会いは1990年6月。世界初の市販GPSナビゲーション(当時はサテライトクルージングシステム)である「AVIC-1」を世に送り出した事を覚えている人も多いだろう。
何よりも高度2万1000km上にあるGPS衛星から電波を受信して自車位置を把握できる事は自分としては「宇宙と自分が繋がっている」、そうロマンなのである。それだけ衝撃だった。
もちろん、おいそれと購入できるわけではなく、結果として2年後に発売されたGPSカーコンピューターである「AVIC-G10」を購入したのだが、当時まだ会社員であった筆者もボーナス全額をこのモデルに投入、気持ち的には「清水の舞台から飛び降りる」位の大胆な投資!?だった。
その後、1994年の「AVIC-G9」、1995年の「AVIC-G8」と毎年のように新モデルを購入、財布の中は万年金欠状態だったが「常に最新の技術に触れる喜び」は何物にも代えがたく、自ら『荒行』と名付けてカロッツェリアを買い続けた。
買い続けた、と書くと景気の良い話に聞こえるかもしれないが、やはりネックとなるのがその価格の高さである。多くの人にカーナビの素晴らしさを「布教」したいと思っていても「価格の壁」はどうしようもない。やはりカーナビは「高嶺の花」であったわけだ。
■衝撃以外の何者でもない、遂に楽ナビが登場!
そして1998年1月。前述したようにカーナビは「高性能だけど、価格も高いし、何よりも操作が難しい」という問題を一気に解決する商品が発表された。それが初代「楽ナビ」である。
コンセプトは明快だった。分かりやすく言えば「高性能を簡単に」である。カーナビにおいて“最初の一歩”は目的地の検索である。検索方法が多岐に亘れば複雑になるし、それがカーナビ購入の敷居を上げていたのも事実だろう。
そこで「楽ナビ」はその敷居を一気に下げることにした。それがボイスコントロール(音声認識)を活用して目的地を検索、自動的にルートを探索し、すぐに出発できる機能を持たせたことだ。まさにシームレスとも言えるUI(ユーザーインターフェース)は現在の「楽ナビ」でもさらに進化しているが、25年前にこれを実装した事は今でも驚く。
そして、もうひとつの大きなポイントはその価格である。前述したようにカーナビの価格はまだまだ高い時代において、筆者が購入した5.6V型TV付き(当時はモニターではなくTVだった)の「AVIC-500」の価格は18万8000円(税別)。
余談だが、筆者はその前年に初代サイバーナビである「AVIC-D909」を購入していたが、斬新なボイスコントロールやシンプルながら多機能のリモコンに魅せられて速攻で乗り換えた(サイバーナビは親のクルマに移植)。
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