トラック電動化の新たな選択肢! いすゞのバッテリー交換ステーション「ECC」はBEVのデメリットを覆せるか!?

トラック電動化の新たな選択肢! いすゞのバッテリー交換ステーション「ECC」はBEVのデメリットを覆せるか!?

いすゞのバッテリー交換ステーション「ECC」とは?

ECCを構成する設備。建屋は20ftコンテナを流用するが、移動もコンテナ積載車あるいはコンテナトレーラで可能である。ソーラーパネル(太陽光発電パネル)はオプションとして提案する予定
ECCを構成する設備。建屋は20ftコンテナを流用するが、移動もコンテナ積載車あるいはコンテナトレーラで可能である。ソーラーパネル(太陽光発電パネル)はオプションとして提案する予定

 バッテリー交換式EVの運用で不可欠となるのが、バッテリーパック交換のための設備である。いすゞが開発中の「EVision Cicle Concept(イービジョン・サイクル・コンセプト/略称ECC)」は、エルフ・バッテリー交換式EVが搭載する2基または4基の高電圧バッテリーパックの交換を、4分(2基交換時)または7分半(4基交換時)という短時間で可能にする実証ステーションで、将来は3分または6分へ短縮を目指している。

 交換作業は全自動で、ステーション内の停車位置にエルフEVを停めると、交換装置に合わせたポジションに停車位置を自動補正した上で、「左右同時に」高電圧バッテリーの脱着・交換を行う。左右同時というのは、重いバッテリーパックを左右別々に外すとクルマが傾(かし)いでしまい、迅速な交換作業が困難になるためである。

 この交換時のクルマのポジションというのは意外に重要な課題で、前述の「交換装置に合わせた補正」のための専用装置や、バッテリーパック位置を確認するための画像センシングシステムも、併せて開発している。

 この実証ステーションでは、交換装置2基とおよびバッテリーパック保管庫(ストック7基)を収めた20ftコンテナを、クルマを左右から挟む形で1棟ずつ設置する。計14基のバッテリーパックは、200V普通充電により保管中に充電する。充電時間は掛かるが、電力料金を抑えるためである。

 また、運行中のクルマに搭載しているものを含めて、高電圧バッテリーパック個々の状態をクラウド管理し、次の交換に最適なバッテリーを自動選択することで、計画的かつ効率的、そして低コストで高電圧バッテリーパックを使いまわす全体像を描いている。ただ現時点でクラウド管理システムは開発中だ。

 施設を作動させる電力とバッテリー充電用の電力は、系統電力(電力会社からの電力)を使用する。オプションで太陽光発電パネルをコンテナに設置することも可能だが、あまりパネル面積が大きくないため補助的な電力供給に留まるという。

 ECC実証施設は、同社藤沢工場構内に設置し、構内でエルフ・バッテリー交換式EVを運行する。構内実証期間は来夏までを予定している。

ECCでの高電圧バッテリーパック交換作業の様子。エルフEVのバッテリーパックが載ったブラケットを交換装置が引き出して、さらにパックを取り出す
ECCでの高電圧バッテリーパック交換作業の様子。エルフEVのバッテリーパックが載ったブラケットを交換装置が引き出して、さらにパックを取り出す

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