さまざまなマックシリーズのモデル化を手掛けている米国ファーストギア社。いっぽう、軍用トラックのモデル化は数少ないが、米国陸軍のマック「M917A3」ヘビーダンプトラックをラインナップしている。
同社の「M917A3」の出来栄えはどうなのか? さっそく、重機・トラック専門のミニチュアショップ「ケンクラフト」の店主ケンさんに解説してもらおう。
文/高石賢一(ケンさん)、写真/岡村智明
アメリカ陸軍が採用するマック「M917A3」
軍用トラックはなかなかモデル化されていないが、今回はアメリカ陸軍が採用しているマック「M917A3」を紹介しよう。
同社は創業間もない1915年あたりからすでに軍用仕様をラインナップしており、堅牢なクルマは作りなれている。
見た目からもヘヴィな感じが伝わってくるが、軍用車ならではの装備も興味深い。マックの中でもポピュラーな民生用の「グラナイト」ダンプトラックをベースとしている。
エンジンはMP8型と呼ばれる520馬力を搭載。足回りはメリトール製アクスルに、フロントはパラボリックスプリング、リヤはヘンドリクソンのPrimaax(エアサス)を採用し、空荷でも満載でも安定した乗り心地を提供する。
8×8の総輪駆動で、スタンダードよりも車高が高く走破性を上げている。運転席はドライバーが快適に運転できるように配慮したデザインだが、フロントウインドウやサイドウインドウ、ドアは乗員をプロテクトできるように分厚くなっている。最大積載量は27t。
荷台はCrysteel社の通常よりもヘヴィな素材が使われ、鉱山用ダンプと同じように排気ガスを利用したヒートシステム、自動式荷台カバーを装備。テールゲートは標準のスイング式の他、4つのゲートを個別に制御するMCS(マテリアル・コントロール・システム)式をオプションで選ぶことができる。
マックでは軍用仕様としてこのダンプトラックの他、クレーン、レッカー、タンクローリー、兵員輸送車、重量物運搬トラクタをラインナップしている。
米国ファーストギア製スケールモデル
モデル製造はアメリカのFirstGear社、同社はコマツをはじめ重機やアメリカントラックのスケールモデルを多数手がけるメーカーだ。
マックトラックもさまざまなタイプをモデル化しているが、軍用車のモデル化は珍しい。第一印象はヘビィデュティーでスパルタンなデザインがかっこ良い。ミリタリー好きでなくても惹かれるかもしれない。
ボディカラーはタンとグリーンの2種類。仕向け地によって色を使い分けるのだろう。
ディテールを見てみよう。クロームメッキパーツは一切なく、エンジンフードのブルドッグのマスコットまで艶消しにしてある。フロントウインドウ、サイドドア、サイドウインドウは銃弾から乗員を守るように分厚い。
フロントバンパーやヘッドライトの意匠もスタンダードとは異なる。スタンダードでは乗り込むときのステップの裏側に燃料タンクがあるが、軍用では無く、ステップ形状も異なる。
フロントフェンダーにはミラーを追加。キャビン後ろ左サイドには立型の工具箱。キャビン右サイドのスペアタイヤには頑丈なプロテクターが付く。
いわゆる煙突マフラーからは分岐で荷台につながるようになっていて、荷台を暖めるシステムだ。その荷台も、見た目スタンダードよりも頑丈そうだ。
ダンプアップは実車と同様、いわゆるタケノコシリンダーで50度まで上げることができる。リヤゲートの特殊な装置も再現。自動開閉式荷台カバーを可動させるアーム形状もスタンダードとは異なる。
エンジンフードは開閉可能でマック自社製のMP8型13リッターエンジンを見ることができる。エンジンも割と細かく再現されているようだ。
フロントはステアリング可能、リヤ3軸のエアサス、総輪駆動のトランスファーギヤボックス等、手抜きがない。軍用車ならではのスパルタンな雰囲気タップリのモデルをコレクションにいかがだろうか。
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