2025年1月3日~17日、サウジアラビアを舞台として開催されるダカール・ラリー2025がスタートした。
日野自動車は、1991年に日本の商用車メーカーとして初めて同ラリーに参戦して以来33回連続完走を続けているが、今年も34回の連続完走と上位入賞を目指し、「日野チームスガワラ」として参戦。サウジアラビアのビーシャでプロローグランを行なった。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部、写真/日野自動車・フルロード編集部
ビーシャ郊外のプロローグランを15位で手堅く走破
ダカール2025は1月3日、サウジアラビア西部のビーシャ近郊でプロローグランを行ない、日野チームスガワラのHINO600シリーズは4輪部門総合135位、トラック部門のトップから2分35秒差の15位でゴールした。
この日の行程は4日の第1ステージの出走順を決めるもので走行タイムは成績には反映されない。
車検に合格した2輪部門134台、4輪のアルティメット(改造車)部門64台、ストック(市販車)部門2台、チャレンジャー(小型バギーのプロトタイプ)部門52台、SSV(市販小型バギー)部門39台、そしてトラック部門44台の合計335台が出走した。
ビバークの南方へ26㎞のリエゾン(移動区間)を走った地点からスタートするループ状のコースは29㎞と短く、路面は砂地のオフロードが中心。ただし木立があったり、トラックの出走時には多くの場所が先行車の走行によって掘り返されて石が出るなど、気の抜けないコースとなっていた。日野チームはパンクに留意しながら慎重なペースを保ち、ノートラブルで走り切った。
ゴール後、22㎞のリエゾンでビバークへ戻った参加者はそのままスタートセレモニーに臨む。日野チームは日本から激励に駆け付けた日野自動車脇村誠CTOとポディアムの上でがっちりと握手をかわし、いよいよ始まる25年大会の戦いに気持ちを引き締めた。
日野チームスガワラはチーム代表の菅原照仁がドライバー、染宮弘和がナビゲーター、望月裕司(日野自動車社員)が乗車メカニックを務める2020年大会以来の布陣で今大会に参戦。
日野自動車と日本レーシングマネージメントのスタッフで構成されるサポート部隊には販売会社から派遣されるメカニックが2人から3人に増員され、選抜された柏谷壮一郎(青森日野自動車)、上原智史(長野日野自動車)、邵相権(南関東日野自動車)が帯同する。
チームは12月中旬にサウジに入り、現地で日野車を扱うTJT社のジェッダ支店を拠点に最終調整を進めてきた。12月20~21日には事前テストを兼ねて当地のジェッダラリーに参戦し、競技を通じて車両の仕上がりとともに走行中に乗員が操作する機器や役割分担を確認した。
参戦車両のHINO600シリーズはエンジンの最高出力を16PS向上させ、全体のリフレッシュと併せて排気管の取り回しなど、今大会から適用される技術規定への対応を実施。これにより1月1日に受けた大会の車両検査も大きな問題なくクリアした。準備作業は順調に進捗し、プロローグランを終えたチームは明4日からの本格的な競技に向けて万全の体制を整えた。
4日は第1ステージとしてビーシャを基点にした412㎞のループコースで競技が行なわれる。
【日野チームスガワラのスタッフのコメント】
脇村誠
いろいろな人の想いを背負っていることを忘れずに、最後まで諦めることなく精一杯戦ってきて欲しい。応援しています!
菅原照仁
今大会に向けて協賛企業様とともに全国の日野自動車販売会社から手厚いご支援を頂きました。派遣される販社メカニックも2人から3人に増員され、心のこもった支えに感謝しています。みんなの頑張りのおかげで準備は順調。明日からの競技でもミスのない走りを続け、競技車の能力を存分に引き出して前回大会以上の結果につなげたいと考えています。今日のプロローグは短くて何も問題ありませんでしたが、第1ステージからは相応に難しくなってくると思います。
染宮弘和
今大会では安全確保のため、競技区間の一部でトラックが2、4輪部門とは別のルートを走るようです。これが競技にどのように影響するかは不詳ですが、とにかくナビゲーションの精度を高めてロスのない走りができるよう頑張ります。プロローグランは短い割にあっちこっちと忙しいコースでした。
望月裕司
この車両は熟成の域に達しつつあり、ライバルにそん色ない走りもできるようになってきました。乗車メカニックとしてトラブルなどで停まる時間をできるだけ短くすることで好成績に貢献したいと考えています。もちろん今日はノートラブルです。
門馬孝之
無事にスタートが切れてほっとしました。良い結果を導き出せるよう、明日から頑張って参ります。
鈴木誠一
今回の車両はエンジンの最高出力が高まったほか、前回トラブルの出た燃料配管をきっちり対策し、新しい技術規定に合わせて排気管を荷台上部に出すといった細かい改良を行なっています。前回ローレンジを多用した自動変速機は分解整備の結果、擦動部品を含め全く問題ないことを確認しました。最後までトラブルなく走って欲しいです。
良川幸司
無事にプロローグランを終えて車両は順調です。明日からの競技でもこの状況を維持し、前回大会のように大きなトラブルなくゴールできればと考えています。
柏谷壮一郎
販社メカニックのダカール派遣活動で青森日野から派遣されるのは自分が初めて。車両製作から携わることが出来たのは新鮮でした。本番ではみんなでコミュニケーションをとりながら楽しく仕事ができれば、車両も良い走りをしてくれると思います。
邵相権
自分は中国の吉林省から留学生として来日し、2013年に東京日野(当時)に入社しました。ダカール参加のきっかけは上司に勧められたことですが、現場の仕事は楽しいです。体調を万全に保ち、いろいろチャレンジしてみたいと考えています。
上原智史
日野自動車がダカール活動をしていたことは自分が長野日野に就職した際の決め手でした。今回自分を快く送り出してくれた職場にも感謝しています。ロードサービスの経験を活かして与えられた役割をしっかりと果たしたいと思います。