大型トラック電動化の鍵を握る「MCS」とは? メルセデス・ベンツがトラック専用インフラを実地検証!

大型トラック電動化の鍵を握る「MCS」とは? メルセデス・ベンツがトラック専用インフラを実地検証!

 メルセデス・ベンツ・トラックスは、大型EVトラック用の充電システム「MCS」のフィールドテストを行なうと発表した。欧州各地に設置が始まったMCS充電ステーションを実際に利用し、実地検証を通じて車両との調和を図る。

 欧州トラックメーカー各社から長距離輸送用のEVトラックが登場した現在、その普及に向けた鍵を握るのは、MCSを始めとするトラック専用インフラとなっている。

文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Daimler Truck AG

メルセデス・ベンツが大型トラック用の「MCS」をフィールドテスト

大型トラック電動化の鍵を握る「MCS」とは? メルセデス・ベンツがトラック専用インフラを実地検証!
MCSの充電器。規格化されており様々なメーカーが提供している

 大型トラックは乗用車よりはるかに大きなエネルギーを必要とし、電動化を進めるには、より大電力を扱える充電システムが求められる。そのために欧州で規格化されたのが「メガワット・チャージング・システム(MCS)」だ。

 このたび、ダイムラー・トラックは傘下のメルセデス・ベンツ・トラックスの「eアクトロス600」2台を使って、実際の条件下でのMCSを試験すると発表した。ドイツからスウェーデンまで2400kmを実際に走行し、同社の開発エンジニアが各地に登場し始めているトラック専用充電インフラを実際に使用して検証するフィールドテストだ。

 メルセデス・ベンツ・トラックスは長距離輸送用BEVトラック「eアクトロス600」でMCSへの対応を進めている。今回のフィールドテストは実際の長距離輸送を模した耐久試験の一環だという。

 規格化されているMCSでは充電器・充電ステーションを様々なメーカーが提供しており、テストトラック2台を使って異なるメーカーのステーションと車両の間の互換性を検証することが目的となる。併せて冬季の実際の使用条件(MCSの充電曲線、平均電力、インフラ全体のパフォーマンスなど)に関して貴重な知見を得ることも目指すという。

 試験走行を行なうのは、ドイツからオランダ、ベルギー、デンマークを通ってスウェーデンに至る約2400kmのルートだ。ヴェルト・アム・ラインにあるメルセデス・ベンツの工場を出発し、スウェーデン南部のリンシェーピングがゴールとなる。途中にはトラック専用に設計された公共・民間のMCS充電ステーションがあり、ここで充電を行なう。

 同社で充電コンポーネントを担当するペーター・ツィーグラー氏は次のように話している。

「メガワット級の大電力で充電する際、最大の課題となっているのが車両を様々な充電システムと調和させることです。同時に、MCSでは極端な大電力を扱うため熱管理が非常に重要な要件となっています。今回の試験走行は、こうした側面を実際の運行条件下で評価することができる貴重な機会となります」。

効率的な運行にはMCSが不可欠?

 欧州では小型車向けにCCS規格の急速充電が広く普及している。ただ、大型BEVトラックのバッテリーを充電するには、CCS方式では数時間を要する。現実的な問題として、一部のステーションでは一度に充電できる容量の上限に達してしまうので、トラックはフル充電のために何度も並びなおすなど、充電は可能だが実用的とは言い難い状況だ。

 航続距離の短いBEVトラックで充電の度に長いダウンタイムが発生すると運行効率が悪化し、運送会社の収益を圧迫する。1000kW(=1メガワット)で充電可能なMCSだと、eアクトロス600のバッテリーを20%から80%に充電するのに30分だ。

 トラック専用のMCSが必要とされる所以はそれだけではない。日本と同様、欧州ではトラックドライバーの休憩が法律で義務付けられており(4.5時間の運転につき45分)、法定休憩中にMCSが利用可能であれば、1日に1000kmを超える長距離輸送も可能になる。

 大型BEVトラック自体は欧州の各メーカーから発売された現在、効率的で柔軟な長距離輸送を行なうために重要なのは適切な充電インフラの整備となっており、MCS対応の充電ステーションの普及は、BEVトラック普及の鍵でもある。

 運送事業者にとってトラックの稼働率向上は経済的なメリットとなり、電動化を促すことにもなる。しかし、公共のMCS充電ステーションはまだごくわずかだ。メーカーとしてもステーションと車両の調和を図り、課題を検証することでインフラ整備を加速する狙いがある。

 そのMCS規格は、CCSを策定しているCharINが主導している。トラックメーカー各社が協力しており国際標準化されているため、ステーションとトラックをつなぐインターフェースが統一され、欧州全域でのネットワーク構築も進められている。

 なお、リン酸鉄リチウム(LFP)バッテリーを合計621kWh搭載するeアクトロス600は、メルセデス・ベンツ・トラックスの電動のフラッグシップトラックで、連結総重量44トンで設計されている。欧州の標準的なセミトレーラを連結した場合の積載量は約22トンだ。フル充電で500kmを超える航続距離を実現するといい、既に量産化が始まっている。

【画像ギャラリー】MBの「eアクトロス600」と大型車用の充電規格「MCS」(2枚)画像ギャラリー

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