超ヘビーデューティ仕様のTGX
新型ヘビーデューティモデルの中心にあるのはMANのトラック用エンジンラインナップで最も強力な「D3876」直列6気筒ディーゼルエンジン(排気量15.26L)で、最高出力640hpと最大トルク3000Nmを発揮する。900~1380rpmの幅広い回転数を利用可能となっており、特に低速・高負荷作業に最適だという。
パワートレーンにおける最大の特徴は、トルクコンバータークラッチを追加したことだ。エンジンと自動化マニュアルトランスミッション(AMT)の間に搭載するトルクコンバータークラッチは流体カップリングによりトルクを増幅するもので、クラッチ板の摩耗を減らしつつ、最大1.59倍の始動トルクをもたらす。
その仕組みを簡単に説明すると、乗用車で一般的なトルコン式ATとトラック用のAMTを直列に配置したギアボックスである。始動~低速時は流体式トルクコンバーターによりトルク増幅したエンジン出力をAMTに入力し、ロックアップ後は流体カップリングを介さず、そのままAMTに伝えるというもの。
(余談だが、昨年のモビリティショーで日本市場への導入が発表されたメルセデス・ベンツの「アロクス」および「アクトロス」重量物運搬仕様では、ダイムラー製パワートレーンにフォイト製の「ターボリターダークラッチ」を組み合わせていたが、これと同様の機構と思われる)
TGXで採用するトルクコンバーターはZFの「WSK」シリーズとなるようで、MANの「ティップマチック 12.30 OD」AMTの直前に配置され、重量物運搬トラクタに求められる力強い始動性と繊細な操縦性を両立した。
併せて、強力なリターダーによる高い制動能力と熱的な安定性も確保した。ティップマチックAMTの制御プログラムも重量物運搬用の特別な設定となっており、最大250トンを運搬する際の高負荷に対応した「ヘビートランスポート」モードや、最大70トンまでの負荷で燃費効率を重視する「エフィシェンシー」モードなどがある。
重量物運搬専用のコンポーネントは、キャブバックに搭載するタワーにまとめて配置する。このタワーには追加の圧縮エア160Lを供給する圧力タンク4基、960Lの軽油タンク、2ステージ油圧用の290Lオイルタンクなどが収められている。
負荷検知システムと連動して、最大で300bar(30MPa)圧力の油圧を供給し、油圧ポンプの流量は負荷に関わらず(油圧ステアリングアクスルの要求に応じて)20または40L/minとなる。タワーには重量物運搬仕様で不可欠となる冷却系も収められており、低速・高負荷領域でも駆動系の温度を一定に保つ。
MANインディビジュアルによる「個性」
フレームに架装する第5輪はヨースト製の「JSK 38 C」シリーズで、荷重配分を最適化するため800mmのシフトデバイスを標準で搭載する。
プッシュ・プル型のけん引作業に対応するため、フロントには3段階の高さ調整が可能なレジスターカップリングを備えるほか、後部にはオプションでロッキンガー製の自動ロック機構付きトーイングヒッチを用意しており、不整地でも簡単・確実な連結が可能となっている。
また、トラクタユニットはMANインディビジュアルの「ライオンS」パッケージを利用可能だ。カーボンファイバー製のパーツ、ブラックのエアロドーム、レッドのアクセントカラーなど専用のデザイン要素に加えて、アルカンターラのシートカバー、装飾ステッチ、レッドのシートベルトなど高品質な内装ディテールが含まれている。24インチテレビやアンビエント照明などのオプション装備は長距離ドライブを少しでも快適にするために用意したものだ。
140カ国に約1670拠点を擁し、グローバルサービスネットワークにより迅速なサポートを保証しているMANだが、日本市場には参入していない(同グループに属するスカニアが日本市場で展開している)。
ただし、重量物運搬トラクタは国産メーカーの車両供給が途絶えがちなセグメントであり、運送会社が独自に輸入・登録して使用するケースもある(MBの「アロクス」などはそうしたケースを参考にメーカーが正式参入したもの)。もしかしたらMANのライオンキング「TGX 41.640 8×4/4」が、日本を走る日も来るかもしれない。
【画像ギャラリー】MANの最重量級トラクタとなる「TGX 41.640 8×4/4」を画像でチェック!(5枚)画像ギャラリー





