モーダルシフトという言葉が使われ始めてから、もう40年以上経ちます。
トラック輸送を鉄道や船舶に転換することを意味するモーダルシフトは、当初はオイルショックなどの苦い経験から省エネルギー対策として提唱されたものでした。
そして今日、そのモーダルシフトが新たな目標を定めて浮上してきました。その狙いはズバリ「2024年問題」。国土交通省が検討を始めた「東海道フェリー構想」を検証してみました。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部、写真/フルロード編集部・東京九州フェリー・写真AC・ヒデさん
東京湾と伊勢湾を結ぶ東海道フェリー構想
国土交通省は9月13日、官民物流標準化懇談会の「第3回モーダルシフト推進・標準化分科会」を開催した。その中で公益社団法人流通経済研究所がまとめた「東海道フェリーの利用可能性アンケート調査結果」を報告。
「2024年問題」やカーボンニュートラルに向け、内航海運によるモーダルシフトを推進する東海道フェリ―構想の可能性の検討を始めた。
今年8月、流通経済研究所は内航海運(長距離フェリー/RORO船)に対する荷主や物流事業者の利用意向についてアンケート調査を実施したが、東京湾(神奈川県)と伊勢湾(三重県)を結ぶ新たなフェリー航路について一定の評価が得られた。
このため新航路「東海道フェリー」に対する評価を定量的に把握するため、追加アンケート調査を実施。
対象は、食品や日用品などの製造業および委託先物流事業者45社で、期間は今年9月1日~9月8日まで。その結果、17社から回答を得た。内訳は、製造業11社・物流事業者6社(うち製造業子会社3社)である。
調査項目は2つあり、まず東海道におけるトラック輸送の状況だが、これは関東圏(茨城・栃木・群馬・埼玉・東京・神奈川)と関西圏(三重・滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山)の過去1年間程度の月平均での大型トラックの輸送台数(台/月)。
もう一つは東海道フェリーにモーダルシフトできるおおよその割合で、神奈川県と三重県の間で、19時発・翌日5時着のタイムスケジュールでトラック輸送に比べたコストが同等、10%増し、20%増しになることを想定した場合のシフトの可否である。