2024インターナショナル・トラック・オブ・ザ・イヤー(IToY)とトラック・イノベーション・アワードが決定した。
過去1年間に発売されたトラックの中から、最も道路輸送の効率向上に寄与したトラックを選ぶIToYは1977年に創設された栄誉ある賞で、現在、選考委員会は欧州各国の商用車雑誌を代表する24人の審査員とともに、中国、インド、南アフリカ、オーストラリア、ブラジル、日本、イラン、ニュージーランド、イスラエル、マレーシアの賛助委員で構成されている。
総読者数110万人を超える各誌の代表が今年のIToYに選出したのは、伝統ある同賞で初めての電動トラックだった。
文/多賀まりお・トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/AB Volvo・MAN Truck & Bus SE・ITOY 2024
トラック・オブ・ザ・イヤーにボルボのFHエレクトリック
ボルボトラックの「FHエレクトリック」レンジが欧州のトラックマガジン24誌を代表する編集者・ジャーナリストが選考する2024インターナショナル・トラック・オブ・ザ・イヤー(IToY)に選出され、2023年11月22日、フランス・リオンで開催されたソルトラン・トレードフェアのプレスデイに於いて、ボルボトラックのロジャー・アルム社長に栄えある同賞が授与された。
スウェーデンのトラックメーカーが開発したヘビーデューティ電動トラックは今回の選考に於いて84ポイントを獲得。メルセデス・ベンツ「eアクトロス300/400」とスカニアの「45S」電動トラックを抑えて同賞を獲得した。ボルボ車の受賞は2014年の「FH」以来、10年ぶり。
IToYは過去12ヶ月以内に市場に導入され、道路交通の効率向上に最も寄与したトラックに授けられる。審査の対象は技術革新をはじめ快適性、安全性、操縦安定性、エネルギー効率、環境に対するフットプリント、そして生涯コスト(TCO)となっている。
今回の市販電動トラックによる受賞は、1977年に始まったIToYに於いて過去に例のないものだ。
(厳密に言うと、前年のDAF「XD」などモデルレンジに電動バージョンが含まれているものはあるが、電動トラック単独での受賞は初めて)
さらに言えば、今回のIToYにノミネートされたトラックは5台中4台が排気ガスを出さない電動トラックだった。このことは欧州でも未だに適切かつ有効な電動トラックの「生態系」が整っていないにも関わらず、輸送部門におけるエネルギーの遷移が現実になりつつあることの証しと言えるだろう。
選考の過程に於いてIToYの審査員たちは連続出力330kWもしくは490kWを発揮する電動機と、最新のI-シフトギアボックスの組み合わせによるFHエレクトリックの途切れのない加速や静粛性、そして振動を感じさせない洗練されたパワートレーンに感銘を受けた。
また、FHエレクトリックが最高得点を得たもう一つの重要な要因は、広範な車型を展開したことだ。トラクタおよび単車系の複数の車軸設定、4種類のキャブ、そしてバッテリーパックは目的に応じて2基から6基を選択することができる。
IToYの議長を務めるジャネンリコ・グリフィニ氏は「ボルボがもたらした最新の電動トラックは様々な輸送業務に対応するものです。それは今日の事業環境に於いてもエネルギーの遷移が強さを増していることの証でしょう」とコメントした。