ルノー・トラックスは2022年に「オキシジェン」プロジェクトとして物流企業などと共同で都市用の電動中型トラックを開発する研究プロジェクトを発表しているが、この度、その実験車両が一般公開された。
低排出だけでなく、複雑化する都市環境に合わせて安全性を強化した、その内容とは?
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Renault Trucks
「オキシジェン」プロジェクトの中型トラック
フランスの商用車メーカー、ルノー・トラックスは同国大手のロジスティクス企業、ジオディスやその他17社のパートナーと共同で開発している実験用車両を2023年10月18日に社内の従業員向けに公開した。
100%電動の中型トラック(車両総重量16トンクラス)は都市部の輸送が直面している課題に対応するための実験車両で、「オキシジェン」プロジェクトとして2022年にルノーとジオディスが共同開発することを発表していた。
(ちなみにオキシジェン=酸素という名称は、意識されないが人々に不可欠な酸素のように、都市と調和し溶け込んだトラックを指しているようだ)
仕事の道具であるトラックにとって、「実用的」であることは不可欠な要素だが、欧州の都市部では排出ガス規制やディーゼル車の乗り入れ禁止、モビリティ(カーゴバイク、自転車、スクーター……)の多様化など輸送ニーズが変化している。
複雑化する都市の要求において、低排出だけでなく安全性なども含めた総合的な性能で、ディーゼル車に対してコスト競争力のある都市用トラックのあり方を模索するのがプロジェクトの目的だ。
そして、実際に製作されたトラックが11月21日から25日までフランス・リヨンで開催された「ソルトラン・トレード・フェア」で一般向けにも公開された。
オキシジェンは都市部の集配送における、あらゆる制約と用途を一つにまとめることで厄介事を排除するとともに、アクティブ/パッシブの安全性を強化することで、すべての道路利用者がより良く共存することを保証する。
低床キャブがトラックドライバーに優れた直接視界を提供するほか、大型ウィンドスクリーンと、リアビューミラーに代わる複数台のカメラにより360度の視界を確保した。
助手席側のサイドドアはスライドドアになっており、従来型のドア開閉時によくあるリスクを回避する。ドライバーはトラックの両サイドから簡単に乗り降りできる。これは電動化により標準的な集配送用トラックよりはるかに床面が低くなったことで、乗降性が改善したことも理由の一つになっている。
控えめなLEDライトは、その先進性を強調するようにラジエターグリルに組み込まれている。カメラはブラインドスポットの歩行者や交通弱者の検知にも対応し、その画像はスクリーン(液晶モニター)に映し出され、車両後方と全周を俯瞰することが可能になっている。
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