ALENZA(アレンザ)はブリヂストンがオンロード向けに専用開発をした、SUV向けのタイヤブランドだ。タフな走りをイメージさせるSUVだが、オンロードでのドライブがほとんどだというユーザーが多いのが現実。オンロードをもっと快適にゆったりと走りたいというSUVオーナーに、タイヤ選びで愛車の走りをガラリと変えるのが、ブリヂストンのアレンザなのだ。それってどういうことなのか? 試乗レポートを交えながら解説しよう。
文:梅木智晴(ベストカー編集委員)/写真:奥隅圭之
SUVを日常使いでもっと快適に、そしてより安全&安心に‼
今、日本でもSUVの人気が高まっている。
ハリアーやクラウンスポーツ、エクストレイルやアウトランダー、ヴェゼルやZR-V……。各メーカーのSUVモデルを街中でもよく見るし、実際、販売台数の上位を占めているのもSUVが多い。
もともとSUVは、タウンユースはもちろんのこと、ちょっとした悪路(オフロード)を安心して走ることができ、さらに高速道路を走っての長距離ドライブなども快適にこなす、マルチパーパスなユーティリティカーとされてきた。
しかし、特に日本国内ではラフロードを走る機会は少なく、SUVといっても2輪駆動モデルも多く、実際、多くのSUVユーザーはオンロードでの快適なドライブを期待している。
そんなオンロード派SUVユーザーに向けたタイヤがアレンザだ。アレンザにはより静かで快適性を重視した「LX100」と、シャキッとした操縦性を味わえるスポーティ派に向けた「001」という2タイプのタイヤがラインナップする。
今回はLX100をRAV4に装着して、その魅力をたっぷりと味わってきた。
印象的なトレッドデザインが静かで快適な走りを支える!!
RAV4に装着したアレンザLX100はパッと見た瞬間、タイヤ好きの私にしてみれば、ハッと目を引かれるトレッドデザインだ。
タイヤのトレッド面はいわば顔。トレッド面のデザインでタイヤの性格がある程度見て取れるものである。第一印象で、「雨に強く、静かなタイヤだな」、と感じたのだ。
なんでそう感じたのか? もちろん理由がある。試乗レポートに入る前に、ちょっとだけ解説にお付き合いいただきたい。
LX100のセンターリブに刻まれた特徴的な凹形状は、細い横溝で縦方向の主溝と結ばれている。これがポイントで、クルマが走るとき、タイヤは回転しながらトレッド面が絶え間なく路面に叩きつけられている。
トレッド面外周の主溝は排水性能に大きく寄与するため、なるべく深く、太く、また多く配したいのだが、走行時に空気を巻き込んで“シャー”という高周波のノイズ発生源となってしまう。
アレンザLX100には4本の深い主溝が配されており、高い排水性=ウェット性能が期待できるのだが、一方で高周波ノイズ低減が課題となる。
これを解決したのが、この凹形状だ。「ダブルブランチ型消音器」と呼ばれるもので、主溝で発生するシャーという高周波ノイズを効果的に抑制する。
主溝で発生する高周波ノイズは、例えばトイレットペーパーの芯のような筒状のものを耳に当てた際に聞こえる“コー”という音と同じ性質の音なのだ。
この筒の途中に、計算された長さの横筒(ブランチ)を付けることで“コー”音はスッと消える。特定の周波数の干渉による効果で、これが「ブランチ型消音器」の原理。アレンザLX100のブランチ型消音器は、左右2本の主溝に機能するので「ダブルブランチ型」と呼ばれるのだ。
この他にも、左右両サイドのショルダーブロックが特徴的な形状をしているが、このブロックがノイズの要因となるトレッド面の振動を減衰することで、ノイズを低減するのである。こうした理由から、LX100は「静かなタイヤ」だろうな、と直感したワケだ。



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