アサヒグループジャパンとNEXT Logistics Japan(以下、NEXTロジ)は物流効率化の実現に向け、世界初の量子コンピュータを用いた物流最適化ソリューションシステム「NeLOSS(ネロス)」を活用した実証実験を12月1日から開始した。
ちなみにトライアルのパートナーとして選ばれたアサヒグループは、燃料電池大型トラックの実証実験でもタッグを組んでいる。
文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部、図/NEXT Logistics Japan
外販向けトライアルを開始した物流最適化ソリューションシステム「NeLOSS」
NEXTロジが開発したNeLOSSは、量子コンピュータを用いて従来人の手でやっていた積み付け・割り付け・配車などを瞬時に割り出すことができるシステム。人間がやると2時間以上を要するところ、NeLOSSは約40秒で完了することができる。
また、高さや重量といった荷物の情報、納品情報を与えることで何十万通りもある組み合わせの中から最適な組み合わせを演算し、作業時間が大幅に短縮されるとともに、緻密な運行計画の実行と積載率の向上が可能になる。
現在はNEXTロジが自社の物流業務で活用しており、40社以上が参画する25m級ダブル連結トラックを用いた混載輸送などで運用。積載率が業界平均の38%(NEXTロジ調べ)に対しNEXTロジのトラック輸送では平均63%へと向上したほか、ダブル連結トラックなどの効果と合わせて43%の省人化、26%のCO2排出量削減などの成果を上げている。
今回の実証実験では、アサヒグループジャパン傘下のアサヒロジが関東―中部―関西の拠点間の配送においてNeLOSSを活用し、外部システムとの適合性・連動性に加えて、荷姿・重量・発着地・運行車両などの情報を掛け合わせたシステムオペレーションの成立を確認する。
アサヒロジでは積載率向上とCO2排出量削減、省人化などの効果を検証し、NEXTロジでは実証データを基に、NeLOSSの外部へのオープン化(外販)に向けて「配送経路・運行計画の最適化」や「CO2削減量の可視化」の機能を加えるなど、システムの利便性向上を図る。
アサヒグループとNEXTロジは、これまでにも日本初となる水素を燃料とした燃料電池大型トラックの走行実証やダブル連結トラックを用いた幹線輸送の協業を通じて、物流におけるCO2排出量削減や省人化に取り組んできた背景がある。
両社は引き続き連携を図り、トラック運転手の時間外労働の上限規制により生じる2024年問題に向けた対応を強化することで、持続可能な物流の実現を目指すとしている。
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