5つの重要分野
新型VNLでは「顧客、ドライバー、そして社会に、どのように最大の価値を提供するのか」を焦点に5つの重要分野を執拗に改善し続けることで貨物輸送のレベルを引き上げるそうだ。その5つの分野とは、「燃費」「安全性」「ドライバーの生産性」「コネクテッド」「稼働率」だ。
空力とドライブラインの改善による省燃費効果
空力改善のため、新型VNLではより角度を付けた流線形のウェッジ(くさび)状のキャブを採用し、燃費効率の10%向上を果たした。曲面ウィンドシールド(フロントウィンドウ)の新デザインとシャシー等の乱流低減、トレーラギャップの縮小なども空力性能の向上につながっている。
空力上のゲインは、ボルボの「スーパートラック2」で並行して開発・試験され、量産車に導入されたもので、デザインの類似もうなずける。
既に業界最高水準にあるパワートレーンも改良した。新型VNLは最新世代のボルボD13型エンジンを搭載し、効率、パフォーマンス、耐久性を向上した。馬力は405~500 hpの4つ、トルクは1750~1950 lb-ft(2372~2643Nm)の3つを用意する。
こうした出力オプションは、変速時間を30%短縮した改良型「I-シフト」トランスミッションに最適化されている。また「I-トルク」パワートレーンソリューションと組み合わせた場合、D13型エンジンの燃費はさらに向上し、クラス最高の汎用性とドライバビリティをもたらすという。
安全性向上へのアプローチ
「安全」はボルボのDNAであり、事故ゼロを目指すために独自のアクティブ&パッシブセーフティを開発している。
パイロット・アシスト機能付きのボルボ・アクティブ・ドライバー・アシストはトラックを自動で車線の中央に保つが、これは全車速域で操作性を向上したボルボ・ダイナミック・ステアリング(VDS)によるもの。横風、排水用の道路勾配、柔らかい路肩、タイヤ故障などの緊急時などでもVDSによるステアリング補正の安定性が向上している。
歩行者・自転車の検知や自動ブレーキなどのアクティブセーフティに加えて、広い直接視界をもたらすウィンドシールドなどパッシブセーフティもクラス最高峰で、サイドカーテンエアバッグ、ドライバー&助手席側エアバッグなどは北米市場で初めて導入された。
他に、横転やエアバッグの作動などをきっかけに自動で緊急通報する「Eコール」機能は、携帯電話網が利用可能であれば詳細な位置情報などを伝えることができる。
ドライバー中心の快適性と効率性
新型VNLでは快適性と効率性をドライバー中心で考え、働く場としてだけではなく、生活・休憩スペースとしての機能を向上した。
超静音パーキングクーラーは車載の24ボルト電気系による空調オプションで、エンジンを止めたままキャブのHVACを作動することができる。これによりアイドリングによる排出・騒音・振動・燃料消費、エンジン摩耗を防ぐとともに、アイドリング禁止区域であっても快適な環境を維持し、ドライバーのウェルビーイングに貢献する。
アメニティを向上する機能としては、ダイネット(食事用のテーブルとイス)へのアクセスを用意にする折り畳み式の寝台、多機能コントロールパネル、新しい断熱材、クラス最大容量の冷蔵庫、(電子レンジなど)様々な機器に電力を供給するパワーオプションなどがある。細部まで快適性の向上にこだわり「自宅ではない、もう一つのホーム」という体験を作り出した。
シームレスに統合したコネクティビティ
車両にはフリート管理のボルボ・コネクトが統合され、位置情報サービスや遠隔診断などのデジタルサービスが共通プラットフォームを通じて提供できるようになった。新型車では「ボルボ・コネクト」のサブスクリプションが24カ月間無料で利用可能となっている。
また「マイ・トラック」アプリでは、航続距離の推定、DEF/冷却水の残量、灯火類の故障などの通知のほか、空調のスケジュールもできるので、乗務前に車内の温度を調整しておくことが可能だ。
稼働率を向上する予防的メンテナンス
ディーラーによるマネージ契約も用意しており、コネクテッド機能を活用して予防整備や遠隔アップデートを実施し稼働率を最大化する。ディーラーの営業時間外は、ボルボのアップタイムセンターがトラックの監視を続け、深刻な問題が発生した場合はプランの契約者にアラートを送る。
新型のリニア排ガス後処理装置はより性能向上に加えてメンテナンスも簡単になった。