空力デザインと安全性
FHエアロではキャブをフロント側に24センチ延伸し(FH比)、これによりキャブの空力性能を向上する余地を生み出した。空力改善は燃費効率を向上するだけでなく、風が強い状況での操縦安定性も向上する
さらに電動のFHエアロ・エレクトリックではフリーロール特性の向上、つまり制動時やダウンヒルでのブレーキ回生によるバッテリー残量の回復量が増した。回生したエネルギーは次の加速や登坂時に活用できる。
ボルボのアイコンとなっている「アイアンマーク」は近年のボルボ製トラックで最も大きくなり、遠くからも容易にボルボ車であることを識別可能だ。合わせて「VOLVO」のワードマークがボルボの最新トラックであることを主張している。
従来のミラーに替えて搭載する先進の「カメラ・モニター・システム」は空力と安全性の両方に大きく貢献している。この新しいソリューションがドライバーの視界を拡張し、トラックドライバーのみならず周囲の道路利用者の安全性を向上する。
カメラシステムは雨天や夜間、直射日光、トンネル内など、ミラーでは見えづらかった条件下でドライバーの視認性を向上する。また、トレーラ連結時はカメラシステムの「オート・パンニング」機能によりトレーラ側の動きに追従することが可能となっている。
そのほか、クラウドベースの地図(地形図)によるクルーズコントロール、ディスクブレーキの改善、インフォテインメントのアップグレード、電子レンジ・USB-Cなど内装系のアップデート、トラック・トレーラのすべてのタイヤを把握可能なタイヤモニタリングサービスなどの機能も強化されている。
排気量17L・780馬力の新型エンジン
ボルボ・トラックスは業界最強クラスの780hp/3800Nm/17LエンジンをFH16トラックに導入する
ボルボのフラッグシップトラック「FH」シリーズの中でも排気量16L級エンジンを搭載する「FH16」は、スカニア・V8シリーズとともに世界のトラックの馬力競争をけん引してきたといえるだろう。
その象徴的なFH16に17L級の新型エンジンが導入される。最大780hp / 3800Nmを発揮する新型エンジンは、最も困難な輸送も容易にこなすといい、並外れた効率と耐久性を備え、同時にバイオディーゼル燃料によるゼロ・エミッション化も視野に入れている。
重量物を積んで高速で走るというのは、自動車にとって困難な任務だが、ボルボの新しい「D17型」エンジン(ユーロVI適合)を搭載するFH16トラックはその例外となるかもしれない。
新型エンジンの馬力レベルは3つ(600/700/780hp)で、トルクは3000/3400/3800Nmに増加した。エンジン本体が高いパワーとトルクを発揮することは、素早いレスポンスと優れたドライバビリティ、運転業務の生産性向上と省燃費につながる。
ボルボ・トラックスのプロダクトマネージャー、マルコス・ワインゲルトナー氏は次のようにコメントしている。
「真の傑作であり、ワールドクラスのエンジニアリングの成果となる新型エンジンを紹介できることを誇らしく思います。780馬力はこの業界でも最強クラスのエンジンです。フル積載で急坂を登るときトルクや出力が小さいと途中でスタックしてしまいます。
D17型では、非常に強力でありながら信頼でき、応答性の良いエンジンを作ることに注力しました。これによりお客様の仕事が早く終わり、燃費を改善することにつながるからです。
D17エンジンは、素晴らしいトラックのための、素晴らしいエンジンです。ボルボFH16を日常業務に活用されているお客様は、間もなくさらに強力な仕事道具が利用できるようになります」。
D17型エンジンは高効率な単段のターボチャージャーにより応答性を改善したほか、ボルボが特許を持つ「ウェーブ・ピストン」設計により燃焼を最適化し、排出を低減した。新設計の噴射システムは最高の燃料経済性を保証するとともに、シリンダーのピーク圧力を高めたことで出力も向上している。
さらに、応答性の向上により全速度域でエンジンブレーキの性能が大幅に向上した。素早いギアシフトが可能になり、ブレーキパッド・ディスクブレーキの摩耗が軽減され、坂道を下る場合の効率も向上する。
新型エンジンはすべてのレーティングでHVO燃料(水素化植物油:廃食用油などを原料にディーゼル燃料と同等の性状とした液体燃料)で動作することが保証されている。さらに700hpバージョンについては100%バイオディーゼル燃料(B100燃料)も保証される。
新型のD17エンジンを搭載するボルボFH16の販売は2024年中ごろに開始する。製造開始は2024年後半の予定。ボルボFH16エアロの全てと、FH16の最新バージョンに搭載可能だ。
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