ボルボが2024年1月29日~31日にかけて発表したグローバルポートフォリオの拡充には、内燃エンジン搭載車の強化も含まれている。トラックの電動化が注目を集めるなか、あえて17L級の新型大排気量ディーゼルエンジンを設定したボルボは、内燃エンジンも「ネットゼロ」に向けた柱の一つとしている。文・/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/AB Volvo
高効率トラックの新水準となる「FHエアロ」
スウェーデンのボルボ・トラックス(以下、ボルボ)の象徴となっている「FH」トラックに新しいメンバーが加わる。「ボルボFHエアロ」だ。名前の通りエアロダイナミックな空力デザインに革新的な機能を統合した新型トラックで、エネルギー効率を新しい水準に引き上げるという。
FHエアロには4つのバリエーションを用意している。2024年のインターナショナル・トラック・オブ・ザ・イヤーに選ばれたFHエレクトリックにも「エアロ」モデルが設定される。バイオガス(バイオメタン)への準備ができたガスエンジンと、もちろんディーゼルエンジンも設定されている。
空力改善とカメラモニターシステムなど新技術でFHエアロはエネルギー消費とCO2排出を5%削減した。
内燃エンジンに逆風が吹く中で注目されるのは、ディーゼル車として市販車で最強クラスの排気量17L・780hpエンジンを搭載する「FH16エアロ」だ。重量物輸送などパワフルなトラックを必要とする市場向けに投入されるとのことで、エネルギー集約的な輸送分野ではまだまだディーゼルエンジンが必要とされている。
(トラックの馬力は長年スウェーデンの2メーカー(ボルボとスカニア)が競ってきたが、現在、中国メーカーのトラックに800hpエンジンの設定があり、「世界最強の座」奪還には至らないようだ。)
電気、ガス、ディーゼル、どのパワートレーンを選択してもすべてのFHエアロは少ないエネルギー消費と長い航続距離、優れた安全性と運転体験というメリットを提供する。「FHエアロ」、「FHエアロ・エレクトリック」、「FHエアロ・ガスパワード」、「FH16エアロ」という4つのバージョンが2024~2025年に段階的に市場投入される。