欧州では2021年に登場し、日本でも発売を開始しているスカニアの「スーパー」シリーズは、エンジンからギアボックス、リアアクスルまでパワートレーンを刷新し燃費効率を追求したトラックだ。
欧州のトラック・輸送分野の専門誌が、実際の試乗による燃費データなどから最も優れた長距離輸送用トラックを選ぶ「グリーントラック2024」が同車に贈られた。同賞では直近8回のうち7回をスカニアが受賞しており、長距離輸送の「ベストトラック」の地位を確かなものにしている。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Scania CV AB
スカニア・スーパーが「グリーントラック2024」に選ばれる
欧州の大型トラックメーカーは毎年「グリーントラック」比較テストに招待されている。これはドイツのトラック・輸送分野の専門雑誌2誌が、最も輸送効率に優れた長距離輸送用トラックを決定するためのものだ。
2023年は「グリーントラック」の栄冠を逃したスカニアだったが、2024年は再びセーデルテリエのトラックメーカーが王座に帰ってきた。実のところ、2017年~2024年までの期間に限れば、2023年を除き全てスカニアがチャンピオンとなっている。
スカニア・トラックス副社長のステファン・ドースキー氏は次のようにコメントしている。
「スカニアは欧州のメディアやプレスが実施しているテストに積極的に参加しています。なかでも『グリーントラック』はこの業界のもっとも中核的な部分にフォーカスしています。すなわち、お客様に最高の輸送効率を届けるということです。
スカニアの『スーパー』パワートレーンは、欧州では2021年に導入され、市場に新水準のパフォーマンスをもたらしました。今では弊社のお客様は8%に及ぶ燃料節約効果を日常業務の中で実感しています」。
実際の公道走行によりデータを集め、最も燃費の優れたトラックを決定する「グリーントラック」は2011年から毎年開催され、2024年で第14回目となる。その内9回で優勝というスカニアの成績は、もちろん他社を寄せ付けない圧倒的な成績だ。
ただ、最初からトップが定位置だったわけではない。第1回グリーントラックでは「5位」という不本意な成績だった(欧州を本拠とするの大型トラックメーカーが7社あり、欧州市場に参入する域外メーカーも合わせるともっと多い)。
ドースキー氏は、「5位という成績は私の任期が始まるずっと前の話です」と冗談を言いつつ、次のように語った。
「真剣な話、世界で最も効率的なトラックというタイトルを取り戻せたことを私たちは非常に誇らしく、そして幸福に感じています。現在、運送業界の大部分は内燃機関に依存しているため、エンジンの燃料消費が少ないということはCO2排出が少ないということでもあります」。
競合との差を広げるスカニア車
このテストにおけるベストトラックは、燃料消費量、平均時速、アドブルー(排ガス処理用の尿素水)消費量、トラック単体の自重(軽いほど積載可能な重量が増える)など、輸送効率と持続可能性に関する各項目を実走行により測定した上で計算式を適用して決定する。
実際のデータを見れば、実走行におけるスカニア車の成績は際立っている。
スカニアの「スーパー」パワートレーンを搭載する「460 R ハイライン」の走行距離100km当たりの燃料消費量は、競合(第2位)との間に0.41リットルの差をつけた。長距離トラックが毎年15万km走行することを考えると、スカニア・スーパーは年間で615リットルもの軽油を節約できる計算だ。
仮に日本の軽油価格(全国平均)をそのまま当てはめると、約10万円分の差となる。しかもこれは第2位との比較であり、第3位以降とはさらに差が開く。
また、7040kgという車両重量は参加車両のなかで最も軽かった。平均時速は最も早い79.7km/hだったが、これは2023年5月に導入したCCAP(積極的な予測制御を行なうクルーズコントロール)の効果によるもののようだ。
テストは高速道路を中心にミュンヘン近郊の様々な公道を実際に走行して行なわれる。主催者側とともに参加メーカーのスタッフがデータを細かくモニターし、比較対象車のほかにリファレンス用トラックを用いることで、風や雨、気温など変化する条件の補正を可能にしている。
ちなみに、同時選考で最も革新的なトラックに贈られる「グリーントラック・イノベーション(トラック部門)」はメルセデスベンツの長距離輸送用大型BEVトラック「eアクトロス600」だった。
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