バケットだけではなくデッキタイプも登場
高所作業車には、電気工事/通信工事向け以外にも建設工事向け、信号機や標識などのインフラ保守用など様々な用途がありますが、日本では概ねバケット付直伸式ブーム型が主流となっています。理由はバケット上からの操作が容易であることが挙げられます。
現在、国内高所作業車シェア2位のタダノは、40年前の1983年にこの市場に参入した最後発のメーカーですが、得意のクレーンブーム技術とその生産設備を活かした製品開発で、急速に存在感を高めていきました。
中でも1994年に開発した「スーパーデッキAT-115S」は、ブーム先端にバケットではなく、大面積・高耐荷重の作業床(デッキ)を備えたもので、かつブームとデッキがそれぞれ全周旋回可能という、従来にない高所作業車でした。様々な用途を想定して開発されたモデルですが、その発売から間もなく発災した阪神大震災の復旧作業に貢献したことで、この種の高所作業車も、道路や電力などのインフラ保守で普及していきました。
なお、1950~60年代に話を戻すと、高所作業車を開発した特装車メーカーには、東急車輛(現・東邦車輛)、森田ポンプ(現・モリタ)といった大手に加えて、地場のメーカーも存在していました。1980年代になると、さらに神戸製鋼や富士重工(現・スバル)も新規参入しました。しかし、1990年代までにほとんどが撤退し、さらに新明和、極東開発、カヤバも2000~2010年にかけて、高所作業車分野からあいついで撤退しました。
ちなみにバケット付ブーム型ではない高所作業車もすたれたわけではなく、鉄道保線車両や航空機地上支援装備(GSE)の分野で発展を遂げており、前述の犬塚製作所や矢野特殊自動車では、用途に最適化されたシザース型などの高所作業車が生産されています。
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