トラックは荷役のために当然停まらなければなりません。
もちろん、それ以外にも430休憩に代表される連続運転や拘束時間の縛りがあるし、トラックは車体がデカいし、トラックドライバーさんは駐車する場所や時間に気を遣うことが多いのではないかと思います。
高速道路のSAやPAの駐車マスが圧倒的に足りない、荷待ちのため路上駐車をせざるを得ない……。
日本は国土が狭いから仕方のない面もあるのかもしれませんが、ところが、国土が広大な米国でも、実は、トラックは駐車場所に困っているというんです。
アメリカで長距離トラックに乗っているPUNKさんに聞きました。
文/なでしこトラッカーPUNKさん、写真/PUNKさん・フルロード編集部
*2024年9月発行トラックマガジン「フルロード」第54号より
アメリカは広い、でも駐車スペースが無い!?
「アメリカは広いからトラックだってどこでも停められるでしょ?」って思う人、たくさんいらっしゃるんじゃないかな?
確かに日本と比べたら土地も広いし施設も多いと思います。でもその分トラックの台数も多く、日本でいう「430休憩」ならぬ「830休憩」が施行され、法規が無かった頃と比べたら、トラックストップもレストエリアも路上駐車しているトラックも、かなり増えてしまいました。
特にEログ(デジタルで自動的に運行記録される)になってからは、一日に走れる時間(11時間)ギリギリまで走ると、時間帯や街の大きさにもよりますが、駐車できるスポットがなくてウロウロしてるドライバーをよく見かけるようになりました。
大都市の夜遅い時間帯のトラックストップやレストエリアの駐車スペースは、誰かが出るタイミングでちょうどそこに居合わすようなラッキーなことが起こらない限り、まず見つかりません。
配達する倉庫街などは多くのトラックドライバーが前日から待機するので、早めの時間帯に行かないと停める場所を探すのに苦労します。
最後の手段は、許可を得てお客さんのところでオーバーナイトするか、路上で停められるところを探すことで、そんなケースもしばしばあります。
また数年前に比べると、トラックストップの有料スペースが増えてきました。確実にそこに停めたい時に、アプリで(または直接カウンターでもOK)有料駐車スポットを予約して確保するシステムです。
それだったらスペースを探さずにウロウロすることもないのですが、料金はだいたい15~30ドルと高めです。L.Aやダラスなどの大都市に行くと、30ドル払うか、もしくは燃料50ガロン(約189リッター)入れると無料か、お店やメンテナンスで50ドル以上の買い物をしたら無料になるなど、いろいろなチョイスがあるトラックストップもあります。
これはあくまでも大きなフランチャイズのトラックストップのことで、名も知れない個人営業のトラックストップもアメリカ中にはたくさんあります。
田舎のトラックストップだったら昼間でも夜中でもだいたい停められるところがあるので、ロードトリップを計画する時に頭に入れておいたりします。
トラックの駐車スポットを探して
大雑把に言うとアメリカの駐車場事情は、夕方遅くなる前に一日の行程を終えて駐車スポットを探せば、大都市以外はたいてい見つかります。
幾つかの大きな都市の中心部だったら昼間でもむずかしい場所があるので、昼間の時間帯に早めにリザーブして有料スポットを確保して行くしかありません。
アメリカ大陸を横断する時は、いつもこんな感じで時間と距離と場所を考慮して、いつ何処に何時ころパーキングできるかプランを立てて計算しています。
夜中の高速道路の下り口や入り口の加速線沿いに停まって休憩やオーバーナイトをしているトラックを毎日見かけますが、基本的に違法なので、時々お巡りさんに注意される、または切符を切られているドライバーもいますね。
それに危険も伴います。特にオフランプは高速から降りてくる車両が勢いよく突っ込んでくる事故も発生しているので、私は絶対に停めません。
一日に運転できる時間ギリギリで停まったものの、トラックストップで停める場所がなくて停めてはいけない場所に無理やり停めるドライバーがいます。日本でもあるんじゃないかな、朝起きて出発しようと思ったら、目の前にトラックがいて出れないようなことが……。私も今まで何度もありました。
もちろんドアをノックして起こすのですが、真夜中に来て時間切れで仕方なく起こされるのを覚悟で停めたんだろうなと思うと、他人事ではないので何だか起こすのが可哀想になったりもしますが……。
事前にアプリでパーキングをリザーブしたのにも関わらず、カウンターで直接来たお客さんに優先的に停めさせたことによって起きたトラブルもたまにあるようです。
それくらい普通に行っても停められないような混雑した場所のトラックストップはなるべく避けて、いつも別のところでオーバーナイトするようにしています。