クルマの事故のなかでもその3割以上を占める「追突」は、AT車の比率が圧倒的に多いといわれる事故のひとつ。アクセルを踏んでいない状態であってもクルマが進んでしまうAT車ならではの「クリープ現象」も、その大きな要因と考えられている
令和3年中の事故発生件数の約1/4を占め、「追突」に次いで2番目に多いのが「出会い頭衝突」による事故。交差点での安全確認の不足やコンビニ、ガソリンスタンドなどからの飛び出しがその原因だが、こちらもやはりAT車のほうが事故率が高い
アクセルとブレーキを踏み間違えたことが原因で起こる暴走や衝突事故は、判断力が低下している高齢者ばかりではなく、AT車に乗るすべてのドライバーが加害者となる可能性がある。いっぽうMT車ではあれば、その危険性をある程度は減らすことができる
MT車にしかない装備のひとつであるクラッチペダル。踏み込むことでエンジンからタイヤへの駆動をカットすることができるため、万一、アクセルとブレーキを踏み間違えた場合でも、クラッチペダルをとっさに踏み込めばクルマが暴走するのを防ぐことができる
クルマの発進、加速、停止を行うアクセルとブレーキを、右足ひとつでコントロールできるAT車。操作が簡単で誰にでも扱えるのが特徴であるいっぽう、この手軽さが事故につながりやすいという指摘も
MT車が敬遠される理由のひとつとして考えられるのが発進時のエンストの心配だろう。万一、踏み切り内などで発生した場合、大きな事故にもつながりかねないが、近年のMT車では発進時のエンストを防ぐためのアシスト機能を備える車種も増えてきている
高齢者の踏み間違いによる事故を防ぐのに効果的と思われるMT車だが、選択できる車種が限られる点や、同じクルマを家族と共有して使うケースなどを考えると、購入にはハードルが高く、現実的には難しい……
MT車では速度や道路状況に合わせた適切なギヤチェンジや、それに伴うクラッチ操作も必要となるため、AT車と比べて運転はやや難しくなる。一見余裕がなさそうにも感じられるが、このやや難しい操作が運転に集中できる環境をドライバーに与えてくれる
MT車の場合、一般道ではハンドル操作とシフト操作を左右の手で頻繁に行う必要があるため、スマホなどを手に持った状態での片手運転はほぼ不可能。そのため自然と「ながら運転」を防止することができる