レーシングドライバーの山野哲也氏が発見した「2015年のとっておきのベストカー」の第2弾。
前回は国産車のホンダ「ジェイドRS」だったが、もう1台は「レンジローバー イヴォーク」。はたしてどこがそんなに魅力的だったのだろうか?
語り:山野哲也
ベストカープラス2016年2月18日
レンジローバーはやっぱりタダモノではなかった!
さて、ジェイドに続いて、2015年に僕が発見したもう1台のクルマを紹介したい。それはランドローバーのイヴォーク。
実はね、2016年モデルを買ったばかりなんだ。まだ同じモデルを街で見かけたことがないっていうくらいの、ほっかほかの新車だね。
買うきっかけになったのは、2015年のパイクスピークに出場するために、アメリカのコロラドに行ったことが大きかったと思う。
それまで、日本でもSUVが徐々に増えてきているなって、気にはなっていたけど、コロラドに行ったら、街を走っているクルマの8割がSUVで、衝撃的だった。トラックかSUVばかりで、セダンなんて走っていない!
この流れはいったい何だろうって思ったね。しかも、よーく見ると、レンジローバーがけっこう走っている。アメリカって、そもそもイギリスのクルマが少ないのに、レンジローバーはちゃんと受け入れられるんだ……って驚いた。
アメリカ人にも受け入れられるレンジの魅力を知りたくて、日本に帰ってきて試乗してみたんだよね。
そしたら、やっぱりタダモノじゃなかった。これはちょっと普通のSUVじゃないなって思って、これは一度所持してみないとその真価は分からないと思って、購入を決めたわけ。
昨年の10月末頃に納車されたんだけど、まずハンドリングのよさにびっくりした。SUVって、ハンドルを切ると怖い感じがして、普通ならなるべくハンドルを切らないように走るっていうイメージがあるんだけど、イヴォークは全然怖くない!
ハンドルをいくら切っても曲がるって印象。ジオメトリーが相当いいんだと思う。クルマのロールセンターだったり、重心の位置であったり、サスペンションのストロークの関係から、クルマの安定性を出すところが、本当によく出来ていると思う。
しかもこれに加えて20インチっていうタイヤのでかさも乗り心地のよさに効いている。「なんでこんなでっかいの」って思うんだけど、これが実にいい。
外形の大きいタイヤのメリットが強烈に出ていて、路面の凸凹を縦方向の長さで感じなくさせているんだよね。タイヤを選ぶ時、みんなタイヤ幅をすごく気にするけど、実はこの縦方向に接地面が増えるメリットを意識する人は少ないよね。
さすがにオフロードはもったいなくて走らせられないけど、冬のスキーなんかでも便利に使えそう。汎用性の高さは抜群だよね。
イヴォークとジェイドRSのどちらかひとつにベストを絞るとすると、もの凄く悩ましいけどジェイドRSかな。「スポーツカーでもないのに、走りたくなる」を実現している稀有な存在という点を評価したい。
山野哲也
レーシングドライバー。全日本ジムカーナ選手権では圧倒的な強さを誇り、ジムカーナキングとも呼ばれる。1999年からは全日本GT選手権(現・SUPER GT)にも参戦、高い実績を誇る
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