ホテルや旅館の送迎車、幼稚園バスなどで活躍するトヨタのコースター。マイクロバスの代表格ともいえる本モデルが、24年ぶりにフルモデルチェンジした。
4代目となった新デザインは、大型化され、個性的なフォルムになっている。
フレームやエンジン、トランスミッションは前モデルからのキャリーオーバーながら、いざ新モデルに乗車してみると、古さを感じさせないどころか、想像以上の進化だった! さっそくレポートをお届けしよう。
文:WEBベストカー/写真:BUS MAGAZINE編集部
押し出しの強いデザイン&室内空間が広くなった新型ボディ
コースターの初代デビューは1962年にさかのぼる。前モデルの3代目の登場は1992年だ。
そして、昨年末にやっと24年ぶりの新モデルとなる4代目が発表された。それぞれのモデルが実に息が長いのである。
もちろん、新型登場までには、排出ガス規制の強化にあわせてエンジンを改良するとともに、商品力を強化するマイナーチェンジを重ねて生産を続けてきている。
日本でおなじみのコースター、実は近年の主力市場は日本ではない。日本市場ももちろん大切だが、輸出比率が高く、新型車開発にあたり海外での使用状況が考慮されたことは想像に難くない。
仕向地は中東や東南アジアなど実に110ヵ国以上と幅広く、なかでも未舗装路あるいは舗装していても荒れた路面を走行する場合が想定され、車体の頑丈さとロードクリアランスが絶対条件になる。
開発初期段階では、すべて新設計のオールニューモデルも検討されたが、新たな排出ガス規制(いわゆる「ポストポスト新長期」・マイクロバスは2018年10月1日適用)に既存エンジンの改良で対策可能であることが確認できたため、信頼性に定評のある前モデルのフレーム、エンジン、ミッションを改良して新型車への流用となったようだ。
ボディは新設計で、居住性のアップと安全性向上がコンセプト。新旧コースターを並べた写真を見てもらうとデザインの方向性の違いが一目瞭然だろう。
暖かみのある上品なデザインの前モデルは、国内での評判も高く長年親しまれたのもうなずける。
それに対して新型は、直線的なデザインに一新された。力強さをアピールするスタイリング、そして存在感と高級感を印象づけるインパクトの強いフロントマスクは海外市場を意識したデザインといえそうだ。
前述のように下回りは原則キャリーオーバーで、新旧モデルのスペックを比較するとホイールベースやトレッドは同サイズだが、ボディサイズは一回り大きくなっている。
しかも4隅が立ったデザインとなり、室内空間は格段に広くなった。特に室内高は、前モデル比60㎜高の1890㎜になり、背の高い人でも余裕のスペース。
ほかに天井とサイドのコーナー部が前モデルより100㎜、着座時のウインドウまでの距離も40㎜拡大して開放感は大きく向上している。
また、新開発ボディは環状骨格構造を採用するとともに、高張力鋼板を効率よく使用することでボディ強度をアップさせている点も見逃せない。
環状骨格とはルーフとサイド、フロアを結合させた太い枠(骨格)を組み合わせた構造で、現在の国内基準では設定されていないローリングテストをクリアするほどの強度をみせる。さらに横滑り防止装置の全車標準装備も実現している。
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