直3、1Lターボ&直4、1.2Lハイブリッドのどちらも魅力的に見える新型スイフト。
新開発のプラットフォームを採用し、大幅な軽量化と高い剛性を両立するという。その走りの実力を公道で確かめてみた。
文:ベストカー編集部/写真:池之平昌信
ベストカー2017年3月10日号
120㎏の軽量化による走りの「功と罪」
ハイブリッドRSが910kg、ターボのRStで930kg。この車重はライバル各車と比べて明らかに“軽い”!
例えばヴィッツハイブリッドは1110kg、非ハイブリッドのヴィッツ1.3Lでも1010kgである。
新型スイフトはプラットフォームを一新し、これによりサスペンションアームやステアリングロッドなど、構成パーツの形状を最適化することができた。
例えば従来であればクロスメンバーを避けるために複雑な形状とせざるを得なかったアーム類を直線的な形状とすることができ、結果軽量化が可能となったのだ。
サスペンション系だけで9kg、アンダーフロアで30kg、その他各部の軽量化トータルで120kgもの軽量化を実現したという。
この効果は絶大で、新型スイフトは走り出した瞬間に「うおっ、軽やか!」。アクセル開度の小さいところでもスルスルスルと軽やかに動き出していく感覚は軽量ボディのなせるわざだ。
これはハンドルを切った時の動きにもあり、スッと軽やかにクルマが反応してくれるので気持ちいい。もちろんブレーキングでも軽さが生きてくる。少々キツめのコーナリングを試みたのだが、リアサスがよく粘ってスタビリティも高い。
心配だった乗り心地も、軽さを生かした軽快な印象で、軽量化による質感の低下を感じるようなことはなく、とても上手に仕上げている。ちょっとだけ気になったのが路面からのロードノイズが少々耳に付いたこと。
ライバルと比べて、どう評価される?
先代型スイフトでも圧倒的な操縦安定性能を見せつけてくれたのが印象的だったのだが、結論からいえば、新型も操安性能ではパッソ/ブーン、マーチは言うに及ばず、ヴィッツやフィットなどのライバルよりも一歩以上先行している。
ステア操作に対するクルマの反応、フロントタイヤの接地感、後輪の追従性など、なにも箱根の山道をグリグリ攻め込むような走りをする……のではなく、
普通の道を普通に走りながら車線変更をしたり、高速道路のインターチェンジのコーナーを駆け抜けたりするだけで「違い」を実感することができる。よく動き、でも落ち着いているのだ。
基本的にはRSグレードであればターボでもマイルドハイブリッドでも操安性能は同じである。足の動きも充分スムーズで、軽量ボディにありがちな路面からの突き上げ感や、ヒョコヒョコした軽薄な乗り味を感じることもない。
3気筒だからフロントが特に軽いということはなく、これはターボなどの補機類が『重さ』となっているためだろう。
直3、1Lターボか、それとも直4、1.2Lハイブリッドか?
新型スイフトのパワートレーンは大きく分けると「直4、1.2L」と「直3、1Lターボ」の2種類。
ただし直4、1.2Lについてはコンベンショナルなガソリン仕様とS-エネチャージを組み合わせたマイルドハイブリッドがある。
組み合わされるトランスミッションは1Lターボが6ATのみ、1.2LマイルドハイブリッドはCVTのみ、そして1.2LガソリンにはCVTと5MTが設定されている。
最も標準的なおすすめはといえばマイルドハイブリッドだ。発進のひと転がり目にモーターアシストが効いてグイと押し出す感覚が軽やかな走りを際立たせる。
40~50㎞/hあたりからの中間加速でもモーターアシストは実感できる。また、新型スイフトのラインアップでアイドリングストップが付いているのはこのマイルドハイブリッドのみなのだ。ターボにもアイドルストップが欲しい!
元気のいい走りを楽しみたいなら、直3ターボがおすすめ。1500rpmぐらいから厚いトルクで押し出すような加速が味わえる。
6速ATの小気味いい変速感も心地よく、2000~4000rpmあたりをうまく使えば1.5L級のドライバビリティを堪能できる。多少3気筒ゆえのがさつな音は感じるけれど、イヤな振動は抑えられている。
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