2026年9月3日の商品改良で、クラウンクロスオーバーの2.5Lハイブリッドが進化した。フロントモーターは約16psもパワーアップしながら、WLTCモード燃費も向上。エンジンや車重を変えず、走りと効率を同時に磨いた新システムのスゴさと、実際の走りで期待できる効果を探る。
文:ベストカーWeb編集部/画像:トヨタ
【画像ギャラリー】変わったのはリアだけじゃない!! 地味にピアノブラック化!(13枚)画像ギャラリー120psから136psへ!! 主役は型式も変わったフロントモーター
クラウンクロスオーバーには、GとZが搭載する2.5Lハイブリッドと、RS専用の2.4Lターボ・デュアルブーストハイブリッドがある。今回大きく改良されたのは、販売の中心となる前者だ。
2.5L直列4気筒のA25A-FXS型エンジンは従来どおりで、最高出力186ps、最大トルク22.5kgm。リアモーターも54.4ps/12.3kgmの4NM型を継続している。最大の変更点はフロントモーターで、従来の3NM型から1VM型へ変更された。
最高出力は従来の119.6psから136psへ、約16.4psアップ。率にすれば約14%の強化である。最大トルクも20.6kgmから21.2kgmへ引き上げられた。エンジンを含めたパワートレーン全体ではなく、前輪を直接駆動するモーターそのものが力強くなったわけだ。
モーターは回転し始めた瞬間から大きなトルクを出せるため、アクセルを踏んだ直後の反応を作る重要な存在である。ただし、今回はトルクの増加が0.6kgmなのに対し、出力は約14%も伸びた。発進時の力強さだけでなく、合流や追い越しなど、中速域からさらに速度を上げる場面で余裕が増したと考えるのが自然だ。
トヨタは、小型・軽量・高効率化したハイブリッドユニットを新たに投入したと説明する。電力を素早く出し入れできるバイポーラ型ニッケル水素電池と組み合わせ、低速域のレスポンスに加え、中~高速域でもダイレクトな加速を狙った。
駆動方式は従来と同じE-Fourで、走行状況に応じて前後輪のトルク配分を100:0~20:80の範囲で制御する。通常走行では効率を重視し、発進時や滑りやすい路面ではリアモーターを活用。コーナリング時には後輪への配分を増やし、安定性と曲がりやすさを両立させる仕組みだ。
速くして燃費も改善!! ただし市街地モードには注意
フロントモーターを強化すれば、電力消費が増えて燃費には不利になりそうだ。ところが2026年型は、GのWLTCモード燃費が22.4km/Lから23.1km/Lへ、Zも22.2km/Lから22.7km/Lへ向上した。しかも両車とも車重は従来型と同じ。これはユニット自体の高効率化や制御の進化が効いた結果といえる。
ただし、すべての走行モードで燃費が向上したわけではない。Gの場合、市街地モードは21.2km/Lから18.6km/Lへ低下した一方、郊外モードは23.8km/Lから25.7km/L、高速道路モードは22.1km/Lから24.1km/Lへ大幅に改善。Zも同様の傾向を示す。
WLTCモードの総合値は、市街地、郊外、高速道路の数値を単純に平均したものではなく、それぞれの走行時間を加味して算出される。このため市街地の数値が下がっても、郊外と高速道路での改善によって総合燃費は向上するのだ。
つまり新システムの燃費面での強みは、信号や停止の多い市街地より、一定の速度を保ちやすい郊外路や高速道路で表れやすい。クラウンクロスオーバーらしく長距離をゆったり走る使い方では、従来型以上の経済性を期待できそうだ。
なお、エンジン186ps、フロントモーター136ps、リアモーター54.4psという数字を単純に足しても、クルマ全体の最高出力にはならない。それぞれが最大出力を発生する回転域が異なり、バッテリーや制御系の上限もあるためだ。システム最高出力は公表されておらず、「約16ps速くなった」と断言することはできない。
それでも、レスポンスと中~高速域の加速を磨きながら、総合燃費まで引き上げたことに新ハイブリッドの価値がある。これはRSのような刺激を狙ったパワートレーンではなく、日常の扱いやすさと長距離の効率を一段高めた進化だ。Gは517万9900円、Zは599万9400円。走りと燃費の両方を求めるなら、2026年型を選ぶ理由は十分にある。
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