新型パジェロ、デリカD:5、アウトランダーPHEV。三菱を代表する3台はいずれも「S-AWC」を採用する。だったら4WDの仕組みも同じ……と思ったら大間違い。パジェロはスーパーセレクト4WD-II、デリカD:5は電子制御4WD、アウトランダーPHEVは前後モーターと、その成り立ちはまるで違うのだ!
文/写真:ベストカーWeb編集部
【画像ギャラリー】パジェロは初なんです!! ロックモードがあるだけで感涙モノ!! パジェロさすがです(5枚)画像ギャラリーそもそもS-AWCは「4WDの種類」ではない!
まず押さえておきたいのが、S-AWC=4WDシステムそのものではないということ。
S-AWC(Super-All Wheel Control)は、4輪の駆動力や制動力を統合してコントロールし、「走る、曲がる、止まる」を高いレベルで実現する三菱独自の車両運動統合制御システムだ。
だから、その土台となる4WD機構が違っていてもS-AWCは成立する。
その最たる例が新型パジェロだ。
パジェロの4WDはスーパーセレクト4WD-II(SS4-II)。2H(後輪駆動)、4H(フルタイム4WD)、4HLc(センターデフロック)、4LLc(ローギヤ+センターデフロック)を選べる、本格クロカンらしい機械式4WDを土台とする。
そこへ新たにS-AWCを投入。フロントブレーキを利用して左右輪間のトルクを制御するAYC、ASTC、ABSまで統合し、4輪の駆動・制動力をコントロールする。つまり頑丈な機械式4WDに電子制御を重ねたのが、新型パジェロのS-AWCなのだ。
一方、デリカD:5は構造がまったく違う。
こちらはFFをベースとした電子制御4WDで、電子制御カップリングを介して必要に応じて後輪へトルクを配分する。前後輪の回転差や車速、アクセル開度などをもとに後輪への駆動力を決め、さらにブレーキ制御式AYC、ASC、ABSを組み合わせてS-AWCを構成している。
ECOでは2WD走行を基本とし、NORMAL、GRAVEL、SNOWでは路面に合わせて4WD制御を変化させる。センターデフロックやローレンジを持たない代わりに、ドライバーが難しい操作をしなくても雪道や砂利道を安定して走れるのがデリカ流だ。
アウトランダーは前後モーターで瞬時にトルク配分!
そして3台のなかでもっとも電気的なのがアウトランダーPHEVだ。
前輪用と後輪用にそれぞれ駆動モーターを持つツインモーター4WDを採用。前後をプロペラシャフトで機械的につなぐのではなく、それぞれのモーター出力を制御することで前後の駆動力を配分する。
モーターは応答が速く、トルクを細かく制御できるのが強み。S-AWCはそのツインモーター4WDにブレーキ制御式AYC、ASC、ABSを組み合わせ、前後だけでなく左右方向の車両挙動まで統合制御する。
アウトランダーPHEVにはNORMAL、ECOに加えて、加速を鋭くするPOWER、ワインディング向けのTARMAC、GRAVEL、SNOW、MUDという7つのドライブモードも用意。後輪への駆動力配分を高めて旋回性を引き出すTARMACなど、電動4WDならではの制御も見どころだ。
こうして並べると、同じS-AWCでもキャラクターはかなり違う。
パジェロは「本格4WD+S-AWC」で極悪路まで守備範囲に入れる。デリカD:5は「電子制御4WD+S-AWC」で家族を乗せたミニバンを雪道や未舗装路でも扱いやすくする。そしてアウトランダーPHEVは「ツインモーター4WD+S-AWC」によって、電動車ならではの緻密で素早い駆動力制御を生かす。
つまりS-AWCはひとつの完成された4WD装置を各車へ載せ回しているのではない。それぞれのクルマに最適な4WDを土台に、その能力を最大限引き出す「頭脳」なのである。
同じ名前なのに中身が違う。それこそ三菱がS-AWCを単なる4WDではなく、「四輪をどう使い切るか」という思想として育ててきた証拠なのだ。
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