今よりもさらに付加価値のあるクルマを作り、他社との差別化を図って利益率を上げる。どこの自動車メーカーも目指すところは同じだが、マツダのように少数精鋭のラインアップで勝負する会社にとっては、そこはさらに重要なポイントとなる。
そのためにマツダが計画しているのが直列6気筒エンジンを搭載するプレミアムFRモデルだ。
本稿ではベストカー本誌スクープ班がキャッチした、マツダ社内で進む新型車プロジェクトを報じます。マツダに新型FRセダンの開発プロジェクトあり。それは次期アテンザなのか!? 以下、解説します。
文:ベストカー編集部
ベストカー2018年4月26日号「Super Spy Scoop FRの復権」より
■マツダ渾身のプレミアム直6ディーゼル計画!!
マツダは昨年8月、コンドウヒデノリ、スギモトマナブ両氏の名前で米国特許商標局にパテントを申請した。
内容は電動スーパーチャージャーに関するもので、それ自体はすでにベンツなどで商品化されている既存の技術だが、ポイントはそのレイアウト。
公開されている図を見ると、電動スーパーチャージャーとツインターボが効率よくコンパクトに組み合わせられている。
ただし、その図は直6ではなく直4の、しかもガソリンエンジン。
そこからはマツダの直6ディーゼルエンジン計画を読み取ることはできないが、4気筒でも縦置き、つまりFR用のユニットになっているところがポイントだ。
クルマのモジュール化が進む今、1気筒500ccのエンジンベースを作れば、直3なら1.5L、直4なら2L、直5なら2.5L、そして直6なら3Lの数種類の排気量ユニットを作りやすい。
かつて、世界のクルマがマルチシリンダーエンジンを直列からV型に切り替えた時代とは異なり、今は最新のベンツの直6エンジンを見てもわかるとおり、全長、全幅ともに相当コンパクトに作れる。
カムシャフトがV型の半分ですむのを筆頭に、部品点数も少なくできるし、ボアピッチを狭めて全長を短くできればエンジン左右のスペースを有効に使えるメリットもある。再び直6のよさが見直される時代になっているということなのだ。
マツダのエンジン開発トップの人見光夫氏は、かねてからダウンサイズエンジンに懐疑的な目を向けているエンジニア。「排気量は小さくすればいいわけではなく、適度な大きさが必要である」という考え方で、実際、それは最近の世界的トレンドになりつつある。
それは同じ気筒数で過給器を付けて排気量を下げる意味はないということで、気筒数自体を減らせるのであればダウンサイジングの価値は認めるスタンス。
つまり、直6エンジンはV8クラスのトルクを持てるのであればやる意味があるということになる。
マツダが計画している直6はまさにこの方向と思われる。つまり、V8級のパフォーマンスを持った直6過給エンジン。となれば、それはマツダが得意とするディーゼルエンジンになると考えるのが自然だろう。そして、それにふさわしいのはFFミドルクラスではなく、FRのプレミアムモデルなのだ。
マツダはサプライヤー各社に、FR用の試作部品を発注したという情報もある。状況証拠は固まってきたといっていい。
2020年頃、マツダは直6、3Lの電動スーパーチャージャー+ツインターボのディーゼルエンジンを積んだFRのプレミアムモデルを登場させる、という情報も入ってきている。
そのクルマは次期アテンザが最有力で、その後にCX-5にも搭載されるかもしれないし、あるいはまったく新しいニューモデルの可能性もある。
いずれにせよ、マツダはプレミアムゾーンに直6ディーゼルFRの投入を決意した。それはマツダくらいの規模のメーカーは、独自性を強く打ち出し、強烈なブランド価値を持たないと大メーカーに飲み込まれてしまう……という現実的な理由もある。
マツダのFRセダン戦略は、生き残りをかけた勇気ある決断なのだ。
本計画はまだまだ不明な部分が多い。当サイトでは新たな情報が入り次第、お伝えします。
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