マツダ3はSKYACTIV-Xを待つべきなのか? ディーゼルよりいいの? 60万円高いってマジ? 

マツダ3はSKYACTIV-Xを待つべきなのか? ディーゼルよりいいの? 60万円高いってマジ? 

 マツダ3の販売はすでにスタートしているが、1.8Lのディーゼルや1.5L/2Lガソリンなど特徴的なエンジンのほかにもSKYACTIV-Xという大きな隠し球が控えている。

 圧縮着火エンジンを採用するSKYACTIV-Xはマツダ3にも搭載されるのだが、期待感と同時に購入を考える層からすると「買い」か「待ち」か悩ましい。

 10月に発売予定のSKYACTIV-Xを買うべきなのか? 海外試乗をした松田秀士氏がズバッと解説します。

文:松田秀士/写真:マツダ

■そもそもSKYACTIV-Xはなにが凄いのか?

 夢のエンジンとも呼ばれたガソリンの圧縮着火。マツダはSKYACTIV-Xというネーミングでこの画期的エンジンを遂にというか、デビューしたばかりのマツダ3に搭載して発売する。

 気が早い方、焦らないで、ゆっくり考える時間はあります。なぜならSKYACTIV-Xを搭載したマツダ3が発売されるのは10月なのだから。

外観に大きな差はないがSKYACTIV-X搭載のマツダ3。ドイツの街並みにも溶け込むデザインは秀逸に思える

 ということで「MAZDA3を買うなら今でしょ!」というタイミングでこの記事を見てしまった貴方のためにも、SKYACTIV-Xにするべきかを一緒に検討しましょう。

 あ、そうそう、ボクはドイツ・フランクフルトで開催されたSKYACTIV-Xの国際試乗会で試乗してきたばかりなのです。

 では、SKYACTIV-Xとはどんなエンジンなのか? ハッキリとは知らないですよね?

 燃費を良くするためには、より少ないガソリンでしっかり爆発燃焼させる必要があります。

 しかしガソリンの量を少なくして混合ガスを薄くすればするほど燃えなくなってしまうのです。当然ですよね。

意外に知らないSKYACTIV-Xの特徴。ディーゼルエンジンとガソリンエンジンの「いいとこ取り」というのがわかりやすいだろうか

 そこで、ガソリンエンジンをディーゼルエンジンのように、プラグ着火ではなく圧縮着火させると、薄いガスでも燃えるのです。

 正確にはプラグ着火も使い、圧縮膨張をより高めて圧縮着火に導いています、が説明すると難しいのでこのくらいにしておきます。

 ただプラグがあるので圧縮着火を行わない、いわゆる従来のガソリンエンジン状態での走行も行います。これはどっちかというと全開時など。

 じゃあ圧縮着火のメリットは何なのか?

 燃費が良くなり低回転からトルクがあり高回転までパワフルに回るエンジンになるのです。つまり、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの良いとこ取りのエンジンというわけ。

■アウトバーンでも乗り味は安定感抜群で評価高し

 では走った印象です。

 圧縮着火といってもエンジンが動いている限り常に圧縮着火しているわけではなく、通常のプラグ着火で走っている状態もあるわけで、それを目視で判断できるようにセンターディスプレーにSPCCIのロゴが現れます。

 これが明るく点灯していれば圧縮着火しているわけ。ちなみにSPCCIとは「火花点火制御圧縮着火」という意味です。

ドイツは郊外の道なら制限速度は100km/hなんてこともザラ。SKYACTIV-Xはアウトバーンから一般道までマルチにこなしている

 エンジンの始動は一発! 普通に掛かります。実は発電機を24Vのモーターに置き換えたマイルドハイブリッドシステムを採用しているので、そのモーターパワーですんなりとエンジンが始動します。これはアイドリングストップ時も同じ。

 トランスミッションは6速ATと6速MT。まずATから。とてもスムーズな加速感。試乗会場のホテル周辺は10%以上の坂道が多く、そこを下りも上りもまったくストレスなく走ります。

 このようなシチュエーションではMTの方がダイレクトな駆動感があり、アクセルの操作にATよりより従順に感じます。つまりMTの操作が苦でなく、運転が好きならばMTがお勧めです。

 これはATはとてもスムーズなので24Vのマイルドハイブリッドによるモーターのヘルプ感を感じ取りにくいのですが、MTはちょっとアクセルを強めに踏み込んだ時の加速感にモーターっぽい力強さを体感できるから。

 ちなみにこのようなストレスの大きい坂道でもSPCCIは点灯しっぱなし。アクセル開度は50%以上なのだが、ストレスが多い坂道でも広範囲で圧縮着火を行っているということ。

 さて、ドイツの道路環境は日本と大違いで、田舎道では100km/h制限のところがいたるところに。

 ATだとアクセル全開で6500rpmあたりでシフトアップ。MTであれば7000rpm近くまで引っ張れる。

 MTはマイルドハイブリッドのモーター回生によってシフトアップ時にエンジン回転を強制的に落とす制御が入り、シフトアップでクラッチを繋いでも瞬間加速がなくとてもスムーズにシフトが決まる。

 ATでの加速はどこにパワーの山があるというわけではなく、とにかく下から上までフラットなトルク特性で気持ち良く走るのです。

 しかも、エンジン音がエンジンの中でハッキリ燃えてることを意識させる爆発音。

 微振動が高圧縮エンジンであることを感じさせるが、音質&微振動共に全く気になるレベルではなく、忘れていた自然吸気エンジン(スーパーチャージャーですが)のようで心に響くもの。

 最後に、速度無制限アウトバーンで160km/hまで全開加速。

 さすがにアクセル全開ではSPCCIは点灯せずSIモードと呼ばれる火花着火。もちろん十分な加速感だ。エンジン音質も一段とスポーティー。

マツダ3自体が持つ直進安定性はSKYACTIV-Xとの相性も抜群とのこと。グローバルで人気が出るだろうか?

 感心するのはマツダ3の静粛性と直進安定性。ACCもLKA(レーンキープアシスト)も装備されているが、それらに頼ることなく160km/hでも自立直進性が高い。

 また風切り音も少なく、日本の120km/h(一部だが)ではもったいないくらいに感じました。

次ページは : ■SKYACTIV-Xを選ぶかそれともディーゼルにすべきか?

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