被害軽減(自動)ブレーキや、ペダル踏み間違い時加速抑制装置、車線逸脱警報など、昨今の新型車のほとんどには、先進安全支援機能が搭載されている。
なかでも自動ブレーキは、2020年には、世界40か国で搭載義務化が決定しており、日本政府は、自動ブレーキを含む先進安全支援機能搭載車をサポカーや、サポカーSと呼び、普及を推進している。
このおかげもあり、日本国内の交通事故発生件数は減少しつつあるのだが、それでも年間53万件(2015年)と、一日になんと1500件ちかく、交通事故は発生している。
そして、その多くが飲酒や高速走行といった明らかな危険運転によるものではなく、ちょっとした不注意が引き起こした事故なのだ。
文:吉川 賢一、写真:日産、ベストカー編集部
危険な行為とは?
例えば、時速60キロメートルで走行しているクルマは、たった2秒間で、約33.3メートルも進んでいる。ちょっと目をそらした隙に反応が遅れ、事故になってしまう可能性があるわけだ。
飲酒運転や、薬を服用しての運転など、明らかに危険な運転による事故は論外として、ここでは一般ドライバーが運転中に気付かずに行っている危険な行為に絞って考察してみようと思う。
違反となる危険な行為
■サンダル履きの運転
ちょっとそこまでの気持ちで、ついやってしまいがちな、サンダル履きでの運転。
サンダル履きでの運転は、道路交通法で明確に違反とされているわけではないが、道路交通法第70条(安全運転の義務)に抵触する可能性があり、サンダル履きでの運転が、ブレーキ操作に支障をきたしたことが明らかな場合、過失認定されることがある。
また、都道府県によっては、道路交通法施行細則により、違反とされている場合もある。
■ライトをハイビームのまま運転
夜間は原則としてハイビーム点灯とし、対向車や先行車がいる場合や、ハイビームが他の車の交通の妨げになってしまっている場合は、ロービームにするというむねが道路交通法第52条(車両等の灯火)によって定められている。
ロービームでは、歩行者や自転車などの発見が遅れてしまうため、ハイビームを原則とするというのがその理由だが、ハイビームのままでも、道交法違反となる。
昨今は先進ライトと呼ばれる対向車を検知してハイビームとロービームを自動的に切り替える。
もしくは部分的に減光するという安全装備も普及が進んでいるが、ドライバー自身が状況を判断してヘッドライトを切り替えるという意識をもつ必要があるだろう。
■サンシェードやカーテンをした状態での運転
たまに見かけることがある、運転席の周りにカーテンを付けているクルマ。
夕日が眩しいから、オシャレのためなど、理由は様々あるが、こうしたサンシェードやカーテンをなどで、側面の視界が遮断された状態で運転していた場合、道路交通法(道交法)55条2項により、交通違反の対象となる。
フロントガラス、または運転席や、助手席の側面ガラスには、運転者の視野を妨げるものを積載してはならない。
■大音量のステレオ
交差点などで停止した際、周囲からズンズンという低音が響いているクルマがいる。
大音量でステレオやラジオを聞いていると、クラクションや緊急車両のサイレン、警察官の指示などが聞こえない状況と判断され、道路交通法第70条の安全運転義務違反とされる場合がある。
都道府県によっては、道路交通法施行細則によって、違反とされている場合もある。
また、イヤホンで両耳をふさいでいる状態も、運転に支障をきたすとみなされる場合もあるほか、ケーブル付きのイヤホンの場合は、ケーブルが運転操作の妨げをしているとみなされる可能性もある。
■スマホやカーナビ使用のながら運転
クルマで走行していると、スマホなどを手にもって、通話やメッセージ送信などをしているドライバーを未だに見かけることがある。
ながら運転が2019年12月1日から厳罰化されるということは、皆さんご存じであろう。改正後は違反点数・反則金ともに約3倍。とにかく運転中はスマホを手にしてはいけない。
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