【たとえ名車と呼ばれなくても】 日本車の歴史を縁の下で支えたクルマたち

■【スポーツカー】 “暗黒期”に歯を食いしばり文化をつないだクルマたち

 多くのハイパワースポーツが消滅した2002年から、86が復活する2012年までの間はスポーツカーの暗黒期。そんな暗黒期にあふれる個性でカテゴリー継続に貢献したモデルたちを称える

●片岡英明が選ぶ3台…マツダ 3代目ロードスター/ホンダ S2000/マツダ RX-8

 世紀末、デートカーの主役に躍り出たのがクロスオーバーSUVだ。それまでデートカーといえば2ドアのスポーツクーペや2人乗りのスポーツカーだった。

 が、1990年代半ばからはキャビンが広く、快適性も高いクロスオーバーカーがファミリーだけでなくカップルにも好まれるようになったのである。

 以降、スポーツカーは販売台数が激減した。この危機を救ったのがマツダのスポーツカー軍団である。

 なかでも驚異的な販売台数を誇り、初代、2代目とヒットさせたロードスターは、満を持して3代目を送り込んだ。排気量を2Lまで拡大し、全域にわたってパンチを増した。また、人馬一体の切れ味鋭いハンドリングにも磨きをかけている。

2005年に登場した3代目ロードスター。当時は2Lエンジンの搭載に「北米市場を意識しすぎ」との批判も

 途中で電動メタルトップのリトラクタブルハードトップを追加し、後期モデルでは6速MT車のエンジンに手を入れた。

 ロータリーエンジン党には観音開きドアの4ドアクーペ、RX-8を送り出すなど、暗黒の時代にマツダが果たした役割は大きい。

現状、最後のロータリーエンジン搭載車でもある、RX-8

 ホンダの創設50周年を記念して発売したS2000もクルマ好きに夢を与えたピュアスポーツカーだ。

 デビュー時は2Lの高性能エンジンを積み、6速MTだけと割り切った設定も走り屋好みだった。クイックなハンドリングに魅了され、今でも乗り続けているファンは少なくない。

ホンダが26年ぶりに作ったFR、S2000 

●渡辺陽一郎が選ぶ3台…マツダ 3代目ロードスター/ダイハツ 初代コペン/日産 5代目フェアレディZ

 1990年代の中盤以降、ミニバンやシティ派SUVが普及すると、スポーツカーは売れゆきを下げ始めた。2002年にはシルビア、スープラ、RX-7などが生産を終えている。理由は排出ガス規制だが、販売する意欲があれば対応できた。

 それでもスポーツカーは全滅せず、2002年からトヨタ86が登場する2012年まで、市場を支える功労車がいた。

 最も尽力したのはロードスターだ。2002年の時点では2代目で、2005年に3代目の先代型に一新した。排気量を2Lに拡大してボディも3ナンバーサイズになったが、依然としてスポーツカーとしては小さく、国内市場に適していた。

 2002年には軽自動車の初代(先代)コペンが発売された。

 ビートやS660と違って走りの機敏なスポーツカーではないが、最終型ソアラ(2005年にレクサスSCに改名)と同様の電動開閉式ハードトップを装着する特色があった。

 スポーツカーの人気が下がり始めた時期だったので、軽自動車に電動開閉式ハードトップという組み合わせは、当時意欲的なチャレンジと受け取られた。功労車として選びたいモデルだ。

軽で電動開閉式のハードトップを装着。そんな話題も盛りだくさんだった初代コペン

 同じ2002年には、伝統のスポーツカーとされるフェアレディZが復活して、5代目の先代型になった。

 後席を備える4人乗りを廃止して、2シーターボディに限定している。

“スポーツカー暗黒期”に伝統のスポーツ、フェアレディZが復活。この5代目には勇気をもらった

 スポーツカーにとって暗黒の時代を少数精鋭で乗り切った。それがこれらのモデルだ。

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