シートアレンジはなぜ減少傾向にある?
2000年代初めまでミニバンのシートアレンジというと先代ハイエースワゴンなどの2列目と3列目が対座でき、テーブルがあれば停止時の車内をラウンジのように使える機能や景色がよく見える横方向への回転機能も珍しくなかった。
また2代目ステップワゴンのような1列目から3列目までフラットにして停車時に快適に眠れるフルフラット機能などもあり、ややもするとシートアレンジの豊富さを争っている雰囲気すらあった。
しかし現在のミニバンのシートアレンジで珍しいものというと2列目を大きくスライドでき、広大な足元空間が現れるスーパースライド機能が目立つくらいで、シートレンジのバリエーションは大幅に減少している。
その理由としては「こういったはじめ目を引く機能というのはクルマに限らず家電などでも初めは珍しがって使うけど、時間が経つにつれ冷静になってくるとユーザーは必要性が低いことに気づき、需要が激減したため」というのが大きいように思う。
また現在のミニバンの売れ筋傾向を見ると2列目が独立しているので快適性が高く、左右シートの間を3列目にアクセスするための通路にも使える点も便利なキャプテンシートが人気となっている。
そのためシートアレンジ自体が盛り込みにくい、シートは可動部が多いほど「快適に座る、移動する」という本来の使命が果たしにくく、メーカーもユーザーも本来の使命の方を優先するようになったという理由もあるだろう。
電動収納シートはなぜ普及しない?
かつてミニバンの3列目シートを収納する作業というのは左右側面に跳ね上げるものが多かったこともあり、結構な力がいる作業だった。
それだけに2003年の3代目オデッセイや2006年登場の3代目エスティマにボタン1つで床下に3列目シートを収納できる機能を採用した時には画期的に感じたものだった。
しかしそれから15年ほどたっても3列目シートの床下電動収納機能はそれほど普及していない。その理由を考えると以下のものが考えられる。
(1)3列目シートの床下電動収納機能が採用される対象となるミニバンはそれほど全高が高くないものがほとんどとなるのだが、そのジャンル自体が全高の高いミニバン人気により現行車ではホンダオデッセイくらいしかなくなってしまった。
(2)全高の高いミニバンでもホンダステップワゴンの3列目シートは床下収納式だが、価格帯が低いクルマだと(ステップワゴンはハイブリッドだと300万円を大きく超える、決してお安いクルマではないが)電動収納シートはコストがかかるものだけに採用しにくい。
なお跳ね上げ式となるミニバンの3列目の収納はトヨタのミニバンなどではバネ仕掛けなどを使う機械的なサポートにより以前に比べればかなり楽になっている。
またステーションワゴンの後席収納もレバーを引くだけで後席バックレストが倒れるという機能が当たり前となっており、シートの進歩は快適性、使い勝手ともに日々進歩している。
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