新型ヤリスがアイドリングストップをやめた意外な理由 燃費至上主義に終止符!?

実はアイドリングストップの有無で燃費は大差なし!?

マツダのロードスターは主力グレードの6MT車で、アイドリングストップがオプション設定となっており、その有無でカタログ燃費が若干異なる

 具体的な理由・根拠を挙げるため、アイドリングストップ装着による燃費向上をカタログ燃費で見てみよう。

 といっても、最近は同じエンジンとトランスミッションで、アイドリングストップの有り/無しがあるモデルは非常に少ない。例として取り上げられるのは、トヨタ アルファード/ヴェルファイア(2.5Lエンジン車)とマツダ ロードスター(1.5Lエンジン車/6MT)くらいだ。

 2台のアイドリングストップ「有り」と「無し」のカタログ燃費は、以下のとおり。

■アルファード(2.5ガソリン車/FF)
WLTCモード総合/無:10.8km/L、有:11.4km/L
WLTCモード市街地/無:7.3km/L、有:8.2km/L
WLTCモード郊外/無:11.7km/L、有:12.1km/L
WLTCモード高速/無:12.8km/L、有:13.2km/L

(※オプション価格=蓄冷エバポレーター含め5万7200円)

■ロードスター(1.5エンジン車/6MT)
WLTCモード総合/無:16.8km/L、有:17.4km/L
WLTCモード市街地/無:12.0km/L、有:13.4km/L
WLTCモード郊外/無:17.7km/L、有:18.0km/L
WLTCモード高速/無:19.5km/L、有:19.5km/L

(※オプション価格=i-ELOOP含め8万8000円)

 このように、実用燃費とのかい離が少ないWLTCモードを見ると、車種による違いもあるにせよ、燃費向上は総合して5%程度、市街地で10%程度となる。いや、実用燃費を考えると気候のいい春・夏ならアイドリングストップの機会も増え、燃費も向上する。

 しかし、夏・冬は車内環境を維持するためのエアコン稼働が増えるため、アイドリングストップの回数も減り、年間でみると燃費が向上する割合は減少するだろう。

トヨタに追従も!? アイドリングストップの意外な弱点と今後

ダイハツ タントのアイドリングストップイメージ図。アイドリングストップが始動する車速も車種によってまちまちで、それによって燃費を向上させるモデルもあったが、その流れに変化も!?

 さらにアイドリングストップ車用の12Vバッテリーは寿命が短いうえに値段が高い。

 車種によっても異なるが、大まかなイメージでいうと、アイドリングストップ車用のバッテリーは、非装着車用に対し寿命は3分の2、価格は1.5倍といったところだ。

 おまけにアイドリングストップ車のバッテリー交換は、ディーラーでのセットアップが必要な場合もあり、ここでも費用がかさむ可能性もある。加えて、大量生産によりコストダウンが進んでいるとはいえ、アイドリングストップを付けるのも、タダな訳ではない。

 こうした点やエコカー減税の適合も次第に難しくなっていることを考えると、燃費の向上とバッテリー交換費用などを考慮した場合、アイドリングストップ装着で金銭的に元を取るのは不可能に近い。

 これに対しては「金銭よりもアイドリングストップして二酸化炭素を出さない方が重要だ」という意見もあると思う。しかし、「では、アイドリングストップによって12Vバッテリーの消費が増えることは良いのか?」というのも真理ではないだろうか。

 こうしたことを総合的に熟考してトヨタはアイドリングストップを非装着にするという決断を下したと筆者は見ている。

 この決断を筆者は正しいものと感じており、こういった決断ができるのもトヨタの強さの原動力の1つと言えそうだ。

 また、アイドリングストップ非装着は影響力が大きいトヨタが決断したことだけに、この動きに追従するメーカーが出る可能性も小さくないだろう。

【関連画像&図表】燃費はどれだけ違う?? 最新アイドリングストップ未装着車と装着車との燃費差

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