ダイハツのパイザーは、1996年8月にリリースされたトールワゴンであり、軽自動車のイメージが強いダイハツ車の中にあって、意欲的な1台となっていた。ただ今となってはアグネス・ラムが出演したCMのキャッチフレーズが先行して語られるモデルとなってしまっているのだが、今回はそんなパイザーをクルマとしてしっかり振り返ってみたい。
文:小鮒 康一/画像:ダイハツ、ベストカーWeb編集部
【画像ギャラリー】エアロダウンカスタムが無骨でかっこいい! CMだけと思うなよ! ダイハツの意欲作パイザー!!(13枚)画像ギャラリーコンパクトながら広い室内空間と充実した装備を誇ったパイザー
「セダンよりも使いやすく、ワゴンよりも楽しい」というテーマで開発されたパイザーは、すでに先行して販売されていたシャレードの4ドアモデルであるシャレード・ソシアルのコンポーネンツをベースとして生み出されたモデル。
そのため全長は4mちょっと、全幅も5ナンバーサイズの上限を下回る1640mmと非常にコンパクトなサイズとなっていたが、全高を1595mm(2WD車)と高くすることで室内空間を確保していた。
またシートアレンジも豊富で、フルフラットはもちろんのこと、後席分割リクライニング&前倒し機構や、のちにセンタークッションやラゲッジルームクッションを用いることでオールフラットにすることもできた。さらに助手席回転シート仕様も用意されるなど、コンパクトなボディでありながら多くのアイデアが盛り込まれていたのも特徴だった。
意欲的なクルマではあったが……
当初は1.5Lエンジンのみのラインナップでスタートしたが、1997年9月には1.6Lエンジンを搭載したスポーティ仕様の「エアロカスタム」を追加。このモデルは専用のローダウンサスペンションのほか、専用エアロパーツやメッキ加飾、プロテインレザーシートなどを与えた上級版となっており、同時に4WDモデルにもこの1.6Lエンジンが搭載された。
このように非常に意欲作となっていたパイザーだったが、全く同じタイミングでマツダから初代デミオがリリースされており、あちらはギリギリ立体駐車場に入る1550mmを切る全高や、1.3Lモデルを設定したことで100万円を切るスタート価格(パイザーは約130万円から)なども相まってそちらに顧客が奪われてしまったのはタイミングが悪すぎたとしか言えないだろう。
ちなみに日本国外ではグランドムーヴ/グランムーヴという名前で、ムーヴの大型版として販売され(一部地域にはムーヴが現地販売されていた)、日本でも当時人気の高かったムーヴの名前を冠して販売していればもう少し違う評価となっていたかもしれない。















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