約2年遅れで登場!! 新型投入のタイミングも理由のひとつ
もうひとつは、新型投入のタイミングにある。10代目となる新型アコードは、2年半ほど前となる2017年7月の北米発表を皮切りに、世界展開が開始されている。
当然、クルマ好きだけでなく、多くの人々が海外仕様の情報は、WEBニュースなどを通じて知っており、このタイミングで、日本仕様を見せられても新鮮味が薄い。
ホンダによると、「グローバルモデルは、地域ごとのモデルサイクルに合わせて投入している。アコードは、日本で2016年6月にマイナーチェンジを実施したため、2020年のフルモデルチェンジが最適と判断した」とのこと。
企業としては、正しい判断といえるが、これだけ大胆な改革を行った新型アコードだけに、その登場を待ちわびていた日本のファンも多かったはず。特に自動車の進化と流行が目まぐるしく変化する時代で、2年以上の時間は、少し長すぎたことも否めない。
新型アコードは海外でカムリ以上の大ヒット車
そんな新型アコードの実力を探るべく、世界販売台数を調べてみると、直近の3年間では、平均して50万台前後を販売している。そのうち約9割を担うのが、2大市場である中国と北米だ。
その動向に注目してみると、セダンニーズが高い中国では、大人気車となっている。2019年は中国市場でアコード初となる年間20万台越えの21.8万台を販売。ライバルとなるVW パサートやトヨタ カムリを抑え、Dセグメント販売No.1に輝いている。
一方、北米では、新型に完全に切り替わった2018年度は、29.3万台。2019年は25.9万台と落ち込みを見せる。この点は、アコード不評というよりも、米国市場の動向を考慮しなくてはならない。
近年、米国の乗用車販売台数は、マイナス成長に陥っており、2019年は前年比-10%も落ち込んだ。過去3年は、-10%代の減少を見せており、依然回復の兆しが見られない。
このため、各社はインセンティブの強化などに、その打開策を見出している。ホンダによれば、「他社と比べてもインセンティブの水準が低いため、より影響が大きい」と分析しているようだ。
ホンダの名門「新型アコード」日本投入の意味と難しさ
話を日本へと戻すと、このタイミングで、新型アコードを導入することは、良い側面もある。それは世界中の新型アコードの中で、日本仕様が最新となることだ。当然、他の市場からのフィードバックも盛り込まれているだろう。
さらに日本専用仕様として、アダプティブダンパーシステムのチューニング変更を行い、ドライブモードに、他地域向けにはない「Comfortモード」を追加。装備内容も日本市場向けに最適化されているという。
もちろん、ホンダ自身もセダン市場の縮小を充分理解しており、供給体制をアコードのニーズが高いタイで生産し、輸入するという方法を選んだ。仕様もモノグレード展開とすることを明かしている。
セダン不況の中、ホンダは、グレイスからレジェンドまで6車種のセダンを揃える。正直、ライバルとの戦いだけでなく、ブランド内でのカニバリズムも考えられる。
それでも導入を決意したのは、アコードが40年以上も長きに渡り、ホンダが世界中のユーザーと共に育んできた一台。まさにホンダの今を映す鏡ともいえるモデルだからではないだろうか。
このご時世だ。国内販売の主力となることは難しい。しかし、それでもアコードを日本のユーザーに届けるのは、そんなホンダの心意気が表れているのだと思う。
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