外国人自動車整備士の採用実態と現場の課題が一目でわかる!!　現場が求める支援と育成とは!?

　自動車整備業の人材確保に向けて、外国人整備士に関する調査が自動車整備事業の経営者を対象に実施がされた。外国人整備士を雇用し定着してもらう上で、鍵となる構図や課題とはなにか!?　

文：ベストカーWeb編集部／画像：PRTimes

外国人採用の実態と課題

　自動車業界向けの人材支援サービスを手掛けるチェングロウスが、2025年9月16日から17日に実施した「外国人自動車整備士・メカニックの採用事情と業界課題」に関する調査の結果を発表しました。対象は自動車整備事業の経営者204人。

　まず気になるのは、「現在の自動車整備業界において、深刻だと感じる課題」への回答。報告によれば、やはり人手不足や採用難が52.9％で最多となった模様。

　次点で、技術革新への対応が38.2％、賃金水準が28.9％となったようです。また、その要因はなにかといった設問に対しては、42.2％が人口減少や少子高齢化などの構造的な部分を挙げた割合が最も多いと報告されています。

　これに次ぐ38.7％が労働条件を要因として挙げ、業界の魅力不足やイメージといった回答は32.8％。報告では、これらの結果から社会構造と待遇、イメージといった複合的な要因絡んで人手不足を加速させているといった分析を導き出しています。

　そんな中、やはり人手不足を補うのが外国人自動車整備士・メカニックの存在。今回の調査ではその点にも切り込んでいるようです。

採用は前向き！　ただし言語と制度対応が不安要素？

　外国人整備士の採用ルートはハローワークや従業員による紹介、HPなどを利用した自社採用が中心で、人材紹介や派遣を活用する割合は29.8％という結果が出た模様。

　そのうえで監理団体や登録支援機関の利用は16.4％にとどまっていることから、チェングロウスはこれらの結果から制度的サポートの活用が十分ではない可能性があるとの推測を提示しています。

　また、採用済み人材の在留資格については技能実習が65.4％、特定技能が52.9％という結果に。一定期間で技術や知識を習得し母国へ戻っていく技能実習に対し、人材不足の解消を目的とした特定技能ですが、これまでの採用の割合に大きな差はないようです。

　そのほかにも、「今後、外国人自動車整備士・メカニックを積極的に採用する予定か」といった設問に対しても、積極的に採用したいが37.7％、スキルに応じて採用したいが60.6％、採用しないは1.7％にとどまりました。

　採用するうえでの懸念についても調査が及んでおり、その結果はやはり日本語での意思疎通に不安を抱えるのが51.5％で最上位、在留資格の手続きが37.8％、文化や価値観の違いが36.3％という数字になっています。

現場が知りたい！　何を整えるべきか！

　また、必要な支援として考えているのは、日本語研修と在留資格サポートが同率で39.7％、整備技術の基礎研修が36.3％に。今回の調査対象は、自動車整備事業の経営者であることに鑑みれば、経営者の側も外国人労働者が働くうえで、採用後の育成と手厚い伴走を必要としていることがよくわかります。

　同時に、活躍に重要な要素として経営者たちが考えているのは、業務への姿勢や熱意が43.1％、技術スキルや資格が42.2％、日本語能力が40.2％でした。キャリアに対する期待に関しては、日本で長期的に働き将来は永住を目指してほしいという割合が37.8％という結果に。

　それだけでなく、外国人労働者がキャリアアップのために重要だと考えていることについては、整備士資格の取得が43.1％で、マネジメント力の向上が37.3％、特定分野の高度技術習得が32.8％でした。

　本報告では、上記の結果から即戦力的な採用だけでなく、資格取得や語学、職場適応まで含めた育成設計が必要だといった総括を下しています。

　今回の調査結果とその報告は業界の肌感覚を数値で裏づけ、受け入れ体制の具体的課題を可視化していると言えるでしょう。その他、結果や数字に関する詳しい内容は、チェングロウスのプレスリリース等にて。