「去年と同じクルマで同じ契約内容なのに保険料が上がっている」こんなケースに心当たりがある人もいるかもしれません。こうした値上げの背景にあるのが、料率クラスという数字です。保険会社が定期的に見直しているこの数値は、クルマの型式ごとに決められています。年々、上昇傾向にある自動車保険料。その金額を左右する重要な要素、料率クラスについて考えていきましょう。
文:佐々木 亘/画像:Adobestock(トップ写真=Kiroku_to_Kankaku@Adobestock)
【画像ギャラリー】保険の料率クラス知っておいて損はないぞ!!(3枚)画像ギャラリー料率クラスはクルマの宿命的な数値

料率クラスとは、損害保険料率算出機構が過去の膨大な事故データをもとに数値化した指標です。対象となるのは、対人・対物・人身傷害・車両保険の4分野で、保有台数や事故の発生頻度、損害の大きさ、さらに盗難による損害など細かく分析し、車種ごとの料率クラスが毎年見直されます。
現在、自家用普通乗用車・自家用小型乗用車は料率クラス1〜17の17区分、自家用軽四輪乗用車は料率クラス1〜7の7区分で、数字が小さいほどリスクが低いという評価です。
特徴的なのは、この数値が運転者の努力では変えられないということ。例えば、安全運転を心がければ自身の保険等級は上がっていきますが、料率クラスはそうはいきません。
型式につく評価のため、自分がどれだけ丁寧に運転しても変動しないのです。つまり、料率クラスはクルマの構造から装備、価格、利用実態までも含んだ、まさにクルマにとっての宿命的な評価指標と言えます。
軽自動車の料率クラスが細分化されて起きていること
2025年1月1日以降、軽自動車の料率クラスは3区分から7区分へと細分化され、より車種ごとの差を正確に反映する仕組みになりました。
この背景には、軽自動車の性能が大きく向上し、安全装備や車体構造、部品価格などの違いによって車種ごとの事故率や修理費に明確な差が生まれてきたことがあります。それぞれの軽自動車に合わせた細かな区分が必要となったのです。
たとえば、同じトールワゴンタイプのスズキ・スペーシア(MK94S型)とホンダ・N-BOX(JF5型)で比較してみましょう。
スペーシアの料率クラスは「車両4・対人4・対物2・傷害4」で保険料は年間保険料が85,910円、対してN-BOXは「車両4・対人4・対物4・傷害4」で年間保険料が90,980円(35歳以上・本人夫婦限定・ゴールド免許・日常レジャー使用・車両保険205万円)となっています。
ここから分かることは、損害保険料算出機構が統計上、N-BOXの方がスペーシアより事故や損害のリスクが大きいと評価していることです。
ただ、軽自動車の保険料が割安なのは、区分が細分化されても変わりません。1200ccクラスのスズキ・ソリオと比較すると、その差は歴然とあります。
ソリオ(MAD7S)の料率クラスは「車両6・対人6・対物7・傷害9」となっており、先の同条件での年間保険料は91,640円です。軽自動車より5000円程度高くなっています。ただ、軽自動車と登録車の料率クラスは、同じ数字でも評価基準が違うため単純比較はできません。
見るべきなのは数字の高さではなく、そのクルマが属するカテゴリ内でどれほどリスクがある位置にいるかということです。軽自動車なら7段階の中でどのあたりにいるのか、登録車なら17段階の中でどのくらいの位置にいるのかを見極め、保険料の参考にしていきましょう。




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