アルファード/ヴェルファイアはなぜガソリン車が圧倒的なのか?

 高級ミニバン市場を席巻! トヨタ アルファード/ヴェルファイアは、販売の約8割がガソリン車!? 流行のハイブリッドが少数派の理由とは?

 トヨタの高級ミニバン、アルファードとヴェルファイアは2015年の現行モデル発売以来、好調な売れ行きをキープ。ざっくり400万円以上が中心となる価格を考えると異例ともいえる売れ行きだ。

 しかし、アルファード/ヴェルファイアともに、今やトヨタ車の定石ともいえるハイブリッド車の割合は3割未満。そう、ガソリン車が圧倒的に売れているのだ。

 トヨタ×ハイブリッドはまさにテッパンの組み合わせ。そんななかなぜアルファード/ヴェルファイアはともにガソリン車が圧倒的なのか。

文:御堀直嗣
写真:編集部、TOYOTA

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バカ売れ“アルヴェル”はともに約8割がガソリン車!

アルファード/ヴェルファイアのガソリン車とHVの販売台数(トヨタ自動車調べ/2019年1-12月期)

 トヨタの上級ミニバンであるアルファード/ヴェルファイアは、好調な売れ行きを続けている。昨2019年1~12月の1年間で、アルファードは6万8705台、ヴェルファイアは3万6649台である。

 そして売り上げベスト50における順位は、アルファードが13位、ヴェルファイアが23位だ。

 この2台は外観の顔つきが異なり、車名も違うため、別々の統計値になっているが、基本的には同じクルマであり、両車の販売台数を合計すると10万5354台となって、4位のカローラを抜く。

 アルファード/ヴェルファイアの価格は350万円以上であり、193万円~のカローラに比べ1.8倍も高価なミニバンが数多く売れている現状に、改めて驚かされる。

 その販売動向を詳細にみると、アルファードとヴェルファイアともに、ハイブリッド車(HV)よりガソリンエンジン車の方が多く売れている様子がわかる。

 環境の時代が叫ばれる今日、より燃費の良いハイブリッド車が売れ筋のように思えるが、ガソリンエンジン車が人気の理由は何か。

アルファードのガソリン車が圧倒的な「2つの理由」とは?

アルファードのハイブリッド車。実はHVは四駆のE-Fourのみで、FFはガソリン車のみとなる

 ひとつは、販売価格がだいぶ異なるからだろう。

 ガソリンエンジン車は、前輪駆動のFFと四輪駆動の選択肢があり、FFであれば352万円から手が届く。四輪駆動でも377.4万円から買うことができる。

 それに対し、ハイブリッド車はもっとも安いグレードでも454.7万円からになるのである。FFのガソリンエンジン車と比べハイブリッドが100万円以上も高いとなれば、おのずと購入予算や、あるいは月々の支払の負担も違ってくるだろう。

 また、ミニバンを日常的に利用するに際して、四輪駆動は必ずしも必要がない場合が多いのではないか。ハイブリッドは、「E-Four」といって後輪駆動をモーターのみで行う方式による選択肢しかない。FFのハイブリッドがあれば買いたいという消費者もあるかもしれない。

アルファードの姉妹車となるヴェルファイア。同車もやはりガソリン車が販売の80%以上を占める

 しかし、トヨタのミニバンのハイブリッドは、2001年にアルファード/ヴェルファイアよりひとつ下の車格のミニバンであるエスティマに採用されたときからE-Fourを採り入れており、その伝統にしたがったようだ。

 ただし、より小型のミニバンであるノア/ヴォクシー/エスクァイアには、FFで2WDのハイブリッド車があるが、逆にハイブリッドの四輪駆動がない設定である。

 E-Fourは、エンジンからの動力を、トランスファーを介して後輪へプロペラシャフトを使う方式ではなく、後輪専用に搭載した電気モーターのみで駆動する世界初の方式として誕生した。

 その後、ほかの自動車メーカーからも後輪側にモーターのみを取り付けた四輪駆動車は生まれているが、トヨタ独創の四輪駆動方式との思いは強いだろう。

高価で燃費よいHVと良質廉価な4気筒エンジン車

アルファードハイブリッド「エクスクルーシブラウンジ」。リアゲートには「E-Four」のバッジも付けられるが、外観上はガソリン車と大きくは変わらない

 そして車両重量が2トン前後となる上級ミニバンのハイブリッドにとって、後輪のモーター駆動を加えることで、電気を使った加速力の増強と、燃費の調和にもE-Fourは効果を表すに違いない。

 実際、ハイブリッドの燃費は今日のWLTCモードにおいて14.8km/Lとなっており、ガソリンエンジンで低価格帯となるFFの2.5L直列4気筒エンジン車でも最高で10.8km/Lである。重いミニバンを快適に走らせながら、燃費は1.3倍以上だ。

 ガソリンエンジン車には排気量3.5LのV型6気筒エンジン搭載グレードの設定があるが、現行のアルファード/ヴェルファイアが登場した2015年時点で試乗した際の印象を振り返ると、2.5L直列4気筒のガソリンエンジン車の印象が大変よかったことも、ガソリンエンジン車に人気が集まる要因ではないだろうか。

 一般的に、V型エンジン車もありながら、低価格実現のため直列4気筒エンジンも車種に揃える上級車の場合、直列4気筒エンジン車は加速や振動・騒音などの点で上質さを欠き、実用性重視の印象を与えることが多い。

 だが、アルファード/ヴェルファイアは、単に車両重量がV6やHVに比べ軽くなるだけでなく、車両の前後重量配分も前輪側が55%、後輪側が45%で調和がよく、タイヤの接地感覚も大変よく手ごたえが確かで、後輪に落ち着きのある走行安定性にも優れていた。

 走行中の静粛性も優れ、上級ミニバンとしての満足度が非常に高かったのである。

 現行のアルファード/ヴェルファイアの開発に際して目指した、新しい未来の高級車を想像する『大空間高級サルーン』の価値を、直列4気筒エンジン車で充分実感することができたのである。そのときの様子は、いまも印象深く記憶に残っている。

ガソリン車人気の裏に「消費者の的確な目利きと正直な動機」

3.5L・V6エンジンを搭載するヴェルファイア「Z“Gエディション”」。価格は466万4000円だが、エントリーモデルの2.5L直4エンジン車なら352万円からとリーズナブルだ

 そのような乗り味を実現するため、サスペンションは前輪側にマクファーソンストラット、後輪側にはダブルウィッシュボーンを採用し、走行性能を高めたうえで、ガソリンエンジン車は運転を楽しめるサスペンション設定とし、ハイブリッドでは2列目の乗り心地を重視した設定に分け、2種類の乗り味を用意したとのことであった。

 そうした取り組みも功を奏し、2.5LガソリンエンジンのFF車は壮快な運転を楽しめたのである。

 確かに燃費ではハイブリッドに譲る。しかし、購入予算の面でも、クルマとしての性能や快適性など実用の面においても、2.5Lガソリンエンジン車の充実感は高く、選ぶ理由がそこに存在する。

 トヨタの調査によれば、ガソリンエンジン車は家族のクルマとして購入される例が多い傾向にあり、家で数台クルマを保有するうちの一台として、大勢で出かけるときなどに重宝しているようだ。複数所有の場合、やはり「価格」は重要な要素になる。

 一方のハイブリッドは、企業の役員用に使われる例があり、環境を意識した会社の印象を高めたり、車内で仕事をこなす時間に追われた日常の中で、静粛性や快適性を重視した乗り味が役立ったりするのだろう。

 したがって、アルファードとヴェルファイアどちらにおいても、ハイブリッドに比べガソリンエンジン車の販売台数が多いという結果は、消費者の的確な目利きと、正直な動機が見事に表れているといえる。

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